折々のチェスのレシピ(251)ダニッシュ・ギャンビット
前回はダニッシュ・ギャンビットの醍醐味といえるコンビネーションをご覧いただきました。しかし、物事はいつもそう上手くは運びません。
黒のナイトを咎めるのがこの手筋の第一歩でしたが、
黒がd5としてくることも事前に検討しておかなければなりません。
f6のナイトを取る選択肢は排除します。なぜなら、次にQxf6とされた場合、c3の地点を守るためにそこに駒を足さなくてはいけなくなり、後手を踏むからです。ビショップで一回チェックを掛けられますが、c6で簡単に受けられてしまい、継続手がありません。ビショップをどこかに逃すと、d4と追撃されてしまいます。よってそれ以外の選択肢が検討されるべき手になります。まず、
アンパッサンが可能です。しかしながら、ここで、
キャスリングをされると、ダニッシュ・ギャンビットの強みであるf7地点への急襲という手がほぼ消滅してしまいます。同時に、白は今後、守りを中心とした駒組みを強いられます。
では、
Qa4ではどうでしょうか? Nc6の次に、
クイーンサイドにキャスリングをするとビショップ取りが一旦不可能になります。ところが、
このようにされると早くもビショップ取りが復活してしまいます。つまり、d5に対して白は有効な手が存在しません。
ということで、e5とナイトを咎める手は白にとってどちらにも転ぶ可能性があることがわかりました。よって次回はe5に代えて別の手を検討することにします。