折々のチェスのレシピ(131)
今回は下の局面をじっくりご覧いただきます。
一見して、黒が指しやすいことがわかると思います。理由はいくつかありますが、
(1)黒は守りがかなり堅い。
(2)逆に白は守りが弱い。
(3)白はクイーンを活用するまでに手数が掛かる。
まず、頑丈に組み上がった黒のポーンを崩すのは相当の手間とリソースが必要になります。簡単には崩すことができません。逆に白は、キングを守っているのが3枚のポーンだけですが、これは展開次第で黒のポーン1枚で崩されてしまう可能性があります。また、白はc2の地点に瑕を抱えているため(ルークが突っ込んでくる可能性があります)、そこをケアしながらの駒組みを強いられています。
この局面にまで至ると、白が形勢を好転させる手段はもはやありません。しかし、なぜこうなってしまったかの痕跡はしっかりと残っています。d5に孤立し、囲われているポーンがそれです。つまり、センターの攻防で白が失敗しているのです。他にも理由は考えられますが、これが一番の原因です。
今回の局面図からは、この白のようにならないようにセンターの攻防を戦うべきである、という教訓が得られます。好形を憶えておくと咄嗟の時に役立ったりしますが、同じように悪形も憶えておいて損はないです。
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