新・チェスのレシピ #47 チェスでスコア1300点超えを目指す人のために
岐路
「岐路」を辞書で引くと、
1 道が分かれる所。分かれ道。
2 将来が決まるような重大な場面。
3 本筋ではなく、わきにそれた道。
のような説明が出てきます。
チェスでは一手一手が岐路ですが、とりわけ、「将来が決まるような重大な場面」が意外に早く訪れます。
白がポーンをぶつけてきた局面です。黒にとっては大きな「岐路」と言えます。ここでどう応じるかによってそれ以降の展開ががらりと変わります。
まず、白のこの手の良し悪しを評価してください。
はい、そのとおりです。良くない手です。このポーンが取れることができるのは、黒のd5のポーンだけです。そのポーンにはナイトとクイーンが紐づいています。さらに、白は自分のビショップの可動域を狭めてもいます。
よって、黒は相手をしなくてもいいことになります。一手もらいました。では黒にとって最善の次の一手は?という流れになります。
Nd4が味のいい手です。もちろん白がナイトで取ってくることも念頭にした手です。f3にいる白のナイトはキングの守りにもなっているだけでなく、黒のキングの頭付近を狙う厄介な駒です。ということで、早く捌いておいてしまったほうがいい駒のひとつです。
白が駒交換時応じると、
この局面になっているでしょう。
黒は、d4ポーンによって白の駒を抑え込んでいる一方で、白のd5のポーンは完全に浮いてしまっています。白のb5のビショップも所在なさげです。
白のd5のポーンは急いで取らなくてもいい駒なので、黒はここでまた一手もらったことになります。いいタイミングで手番が回ってきます。
ここで黒はBg4とすれば、白はおそらくポーンを上げて対応してきますので、一旦ビショップを戻します。
これで白のキングが露出する形になり、守りが弱体化します。
では、第2図の局面において、白がナイトを交換しなかった時はどうでしょうか。どの手を指しても黒の形勢がよくなります。
このように、序盤のかなり早い段階で岐路は訪れます。くれぐれも「本筋ではなく、わきにそれた道」と言われてしまうような手を指さないようにしてください。
ちなみに、第2図の局面で相手をしてポーンを取ったとします。すると、
この局面になっている可能性が高くなります。これでも決して黒が悪いわけではありません。しかし、第3図と比較してみてください。黒にとってどちらが指しやすいかを。