行政書士開業について④:専門業務?得意業務?業務は絞るべき??
行政書士に合格したら次は独立開業。
そんな夢をふくらませている皆様こんにちは。
行政書士メシです。
行政書士の業務は多岐にわたります。
行政書士の手がける書類、つまり業務として受任できる仕事の数は1万種類をこえるとも言われています。
開業したらとりあえずどのような仕事をしたいのか、今から考えている人もいることかとおもいます。
建設業に特化したいとか、宅建業に特化したいとか、外国人関係をしたいとか、車関係をしたいとか、法人関係をしたいとか、相続とか遺言をしたいとか。とにかく胸をふくらませていることでしょう。
さて、今回はそんな専門業務に特化したほうがいいのかとか、そうでもないのか、そんなお話をしたいと思います。
①専門分野とか得意分野とかなんとか
よく巷では
「行政書士は業務の範囲が広いから専門分野を絞るべき」
とか言われています。
合格者でこれから開業の準備をする人もそれにならって専門分野を絞ろうと考えている人が多いと思います。
行政書士会の催しや支部の催しの際に同席した人たちと名刺交換をすることがあります。
名刺交換をしようとしてくる人は歴の浅い人が多いような気がします(僕の感覚です。)
重鎮は黙って座っているか、やかましく座っているかどちらかです。
僕の名刺は専門とか何も書いていないシンプルなものです。
重鎮になればなるほどシンプルな名刺になる傾向にはあるかなと勝手に思っていますが、上記のような催しで名刺をいただく新人の方、歴が浅い方はだいたい相続専門とか国際業務、在留とか建設業専門とか書いている方が多いですね。それもふまえて新人の方はやはり業務を専門とか得意分野とか言っている方が多いと思っています。
そして、新人の方に名刺交換して多い質問で
「先生の専門は何ですか?」と。
②専門分野を絞るべき?
専門分野って絞るべきなんですかね?
絞ったほうがいいですか?
多くの人が考えることです。
限りある資本と時間を多くの分野につぎ込むとだめですよって思うのも事実だと思われますし多くの開業本でもそう書かれていると思います。
(実際に最近の本はみてないですしどうかはわかりません。)
先ほど、新入会員(に近い)方ほど「専門は何ですか?」と聞いてくる感じがするのは事実ですのでそのように未だに行政書士を開業するには業種を絞らなければならないと思っている方が多いと僕が思っている一つの理由となっています。
③僕の場合
僕が「専門は何か?」と問われたら何と答えるか。
真面目にあまり答えていませんが、おおむね以下のように答えています。
「専門ですか?得意なことはありますが、専門というものは特にありません」
④やりたいこと・できること・やらなきゃいけないこと
これから行政書士に登録して開業する方は多くの方が専門を決めていくことかと思われます。
そのような専門に特化した開業ってどうなんだろうと僕自身は疑問に思っています。
行政書士を開業して専門を決めていく人って多くの場合「~業務がしたい」という「やりたい」から考えるように思います。
もちろん、「私は違う」という方がいるでしょうし、そうであってほしいと思います。
「やりたい」ことよりまずは「できること」を考えてみませんか。
つまり自分の棚卸です。
そして、「やらなければならない」ことを考えてみるのはいかがでしょう。
「やらなければならない」こと。
それは端的に言いますと日銭を稼ぐことです。
「行政書士になれば安泰」なんてことは全くありません。
むしろ、苦しい日々が待っていると考えたほうがよいでしょう。
仕事が来ない日々、目減りする預金。
当然のことながら行政書士であり続けるためにはお金を稼ぎ続けることが重要です。継続してこそ事業の意味があるのです。
お金を稼ぎ続ける=業務を反復継続的に受注し続ける
そのためには僕は日銭を稼ぎ続けるという意識が必要だと思っています。
⑤僕の考え。結局どう考えるべきか
やりたいことを業務にできることはそれはとても幸せなことです。
ただ、「やりたいこと」と「できること」。
それが一致していますか??
僕は幸いにも行政書士を合格後、最初に開業するまでに司法書士事務所の補助者として大いにきたえていただくことができました。
その結果として相続や遺言や後見などの実務経験をもとにこのような分野は僕は得意であるといえます。
つまり、相続や遺言などは僕の「できること」なんです。
年間100件も相続手続きをしていたらまぁ、誰でもある程度できるようになります。
僕の経験と類似するそのような経験があればいいですよね。
例えば都道府県の建設業課にいましたよ、とか不動産会社の事務をしていて宅建業の免許の更新とか自分でやっていましたとか、外国人の雇用の部門に勤めていたので入管の手続きはお手の物ですとか。
仲の良い女性の行政書士の方は小さな会社で総務とか経理とかすべてやっていた経験を活かし、まずは記帳代行からこつこつとスタートしたとのことです。
記帳代行いいですよね。月々きちんと見えるお金が入ってきますよ。
少し話がずれましたがずらしたのは僕ですし、もともと常にずれ続けているので安心してください。
「できること」をどんどんと増やしていくことで「やりたいこと」も増えていく。そのうち「やりたいこと」だけで食べていくことができるようになる。
それが理想なのかな?とも思いますが、それはそれでつまらなくなるのかもしれません。
以前とある重鎮の行政書士が得意分野とか専門とかについてお話をしていました。
「行政書士に専門などありません。私たち行政書士は依頼人の業務を受ける必要があります。それは私の専門ではないので受注しないということは行政書士法第11条に反します(皆さん、調べてくださいね)。得意な分野はあってもいいですが専門などあってはならないのです。」
なかなか核心をついているなぁと思いました。
まぁ、重鎮の先生のお話はおいておいて、僕のスタンスはとにかくやってみるです。
きたやつをとにかく打ち返す。
それにつきます。
そうすることで業務の分野が広がりまた新たな得意分野が増えてくる。
もちろん、「やりたいこと」を増やしていくこともとても大切です。
目下のところBCPとかのお手伝いや、新事業の支援、農村の開発支援、農業、漁業、特に最近は林業の支援などのお手伝いをしたいとか、スポーツ事業の支援をしたいとか、僕にもやりたいことは多々あります。
それはあくまで僕のしたいことであって僕が行政書士としてやりたいことかは僕自身少し疑問ではあります。
僕の事務所のホームページは業務を法人向けと個人向けをあげていますが、ホームページからの仕事で本当に欲しいのは相続、遺産承継、遺言、任意後見など個人の仕事です。
なんでっていいますと、僕は実績と経験があるから楽だからです。
全く知識も経験もなく相続がやりたいから相続専門でやっていますという人に相談がいったらお客さんが不幸だと思っています。新入会員の行政書士がいうたびに僕は首をひねっています。本当に大丈夫かな?と。
まぁ、最初は誰でも初心者ですから気にはしなくていいんですけどね。
何度も言いますが「やりたいこと」と「できること」は違うのです。
そして「専門」なんて自分で言うほど恥ずかしいことはないですよ。
他の人(行政書士を含む)から「あの人は○○の専門だから」「あの人は△△に強いから相談したら」と言われてこそではないでしょうか。
ちなみに僕は「とりあえず聞いたらうちかえしてくれるから何でも聞いたらいいよ」と登録歴の浅い行政書士がさらに新人の行政書士に言うようになっていました。
まずは、自分のできることを真剣に考えてみてはいかがでしょう。
専門なんて後からついてきますよ。
自分だけで考えずぜひお近くの「経験があり、かつ、専従の行政書士」に相談してみてはいかがでしょう。
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