習慣化が一生の財産になる
私の娘は、幼稚園の年少組の時の歯科検診で、奥歯の1本だけが『乳歯萌出遅延(にゅうしほうしゅつちえん)』だと診断された。
『乳歯萌出遅延』というのは、1歳を過ぎても乳歯が生えてこない状態のこと。
そこで紹介された歯科大学病院で、遅延の方は経過観察で問題はなくなったけれど、その後歯列矯正で、3歳から小学校卒業まで約10年間、月1で通院していた。
『乳歯萌出遅延』は経過観察のみだったので、通院の時に娘は、毎回歯科衛生士さんに徹底的に歯磨きの仕方を教え込まれた。
私は子供の頃、歯痛で歯医者さんに通う度に「歯磨きが下手」だと怒られ、それでもなかなか改善せずに、既に5本も歯を失っていた。
そんな私と娘が歯磨きをすると、私が終えからしばらく経っても娘はずっと歯を磨き続けていた。
『三つ子の魂百まで』とはよく言ったもので、3歳からちゃんとした歯磨きを叩き込まれた娘は、ずーっと教えられた通りの磨き方をしている。
思春期になっても、大人になっても、その習慣は変わらず、急いでいる時も「ああ、まだ終わんない」と文句を言いながら磨いている。
そんなの自分の匙加減なのにと思うけど、もう体に叩き込まれているので、変えられないのだそうだ。
それでも、そのおかげで娘は、産まれてから30代になった今まで、1本も虫歯が出来たことがない。
子供の頃は、月1で通っていた歯医者さんに、検診以外で全く通うことなく健康な歯を保っている。
歯に何十万円も使ってしまった私としては、これはひとつの財産だなぁと感心していた。
それでも、そう思ったものの、娘のように身体に染み付いていない私は、その後も何度か歯痛で歯医者さんのお世話になっていた。
ところが、そんな私が遅まきながら娘を見習って、真剣に歯に向き合うようになったのは、4年前に半年間だけだけど、老人介護施設で事務のパートをしたからだ。
事務員なので直接介護はしないけれど、介護食メニューの種類変更や、配膳はしていた。
高齢になると、持病以外でも、噛む力や飲み込む力の低下によって介護食の種類が異なる。
よく煮込んで柔らかくした軟菜食↓
細かく刻んだきざみ食↓
ミキサーで液状にしたミキサー食↓
液状にした物をゼラチンなどで固めて見た目に考慮したソフト食↓
介護食は、噛む力や嚥下機能の低下によるものだが、健康な歯があるからこそ、噛む力や飲み込む力の低下も防げるのだと、つくづく感じた。
そして、高齢でも歯が健康な方々は、普通の食事やオヤツを楽しまれていた。
特に私がいた時期はコロナ禍で、外出も家族との面会もできない時期だったので、食べることが一番の楽しみだっただけに、そこでの楽しみの差は大きかった。
『百聞は一見に如かず』とは、まさにこの事!
どれほど聞いていても、目で見るインパクトには敵わない。
虫歯のない娘の歯磨きを「偉いね〜」と人事として見ていた私は、将来の食事の楽しみや、健康のために、どれだけ歯の健康が大事か思い知らされたのだった。
それからは心を入れ替えて、検診で歯科衛生士さんに指導してもらって、毎日しっかりと歯の手入れをするようになった。
普通の歯磨きだけでなく、歯間ブラシやフロスも使ってきちんと。
その甲斐あって、以前は月1の検診が必要だったのが、今では3ヵ月に1度になっている。
期間が開くので、2週間前にはお知らせのハガキが届く。↓
この一生の歯の数のグラフは見過ごしていたけど、間近で高齢の方々の食事風景を見て、グラフが実感に変わった。
忙しかったりしてちょっとサボってしまうと、定期検診でちゃんと見つけられちゃうし、還暦も過ぎると、歯の問題だけでなく、歯茎にも問題が出てくるので、定期的なプロによる検診は必須だ。
私があまりにもしつこく言うので、昔の私と同じように、それほど重要視していなかった親友も、しっかりとケア&検診しているとのこと。
日々のちゃんとしたケアと、定期的なプロによるケアで、将来の楽しみが奪われることがなくなるし、健康も守られる。
この習慣化は、本当に一生の財産だ。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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