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時代は変わっても人はそんなに変わっていないから
2024年の創作大賞の漫画原作部門に、私はこちらの作品を応募した。↓
なぜ今、戦災孤児を主人公にした物語を書いたのか。
昭和35年生まれの私は、当然戦争も戦後の混乱期も知らない。
兵隊経験のある父は、戦争のことを語りたがらなかった。
話すのは、戦後の食糧難で買い出しに行った話だけ。
そしてまだ小学生だった母は、疎開してきた都会の子たちが可哀想だったという話しくらいしかしなかった。
じゃあ何故、私がその時代に興味を持ったのか。
実のところ、自分でもよくわからない。
私は昔から映画が好きで、以前は特に昔の日本映画が好きだった。
それも、『仁義なき戦い』とか『肉体の門』などの、ダーティな映画が。
悪に身を投じて生きる人々の、その葛藤や欲望、綺麗事で生きていけない世界観を描いたものに興味がある。
そんな中で、チラチラ出てくる浮浪児という存在。
痩せっぽちで汚くて、大人に野良犬のように邪険に扱われる子供たち。
なぜこんなにも邪魔者扱いされるのか。
1947年の厚生省(当時)の調査では12万以上いたという戦災孤児。
実際はもっと多かったとも言われている。
そんな戦災孤児のことは、あまり知られていない。
それは、戦災孤児だったご本人たちが口を閉ざしているから。
戦争によって親を殺され、家もなくなった子供たち。
本来なら被害者な子供たちが、まるで犯罪者のように扱われていた。
被害者なのに、まるで前科を隠すように、戦災孤児だった人達は、自分の過去に蓋をして生きてきた。
それでも、高齢になって、二度と同じ過ちが起きないようにと、何人かの人達が重い口を開いた。
その証言を集めた読み物や、NHKのドキュメンタリーを見て、あまりのひどさに驚いた。
でも、人というのは、時代が変わっても、それほど変わっていなくて、ネットでの誹謗中傷などを見ると、あの時代に孤児に辛く当たった人間たちと、同じな気がするのだ。
だって、戦災孤児に辛くあたっていたのは、ごく普通と言われる人たちだったから。
自分に余裕がないと、人に優しくなれないのは、きっと誰もが同じだから。
私自身だって、追い込まれた状態で人に優しくできるかといったら、わからない。
たぶん出来ない気がする。
だから、教訓とか自戒とか、なんかそれっぽい気持ちが、あの時代を題材に選ばせたのだと思う。
そして、あんな理不尽な目に遭っても生き抜いた人たちは、人としてとても尊く思えたのだ。
元々、正義のヒーローなんかよりも、ダークヒーローが好きで、その背景や葛藤の方に魅力的を感じる性質なので、理不尽を生き抜いた人たちにスポットライトを当てたいと思ったのだ。
今の時代だって、無数の理不尽はある。
だから、理不尽を生き抜いた先人の物語は、勇気になると思った。
少なくとも私にとっては、そういう人たちは偉人だ。
そして、出来れば若い世代に読んでほしいから、漫画という手段を選んだのだ。
うん。よくわかない衝動で書いたけど、文章にしてみたら、自分でも腑に落ちた感がある。
本当に言葉にしてみるという事は大事なことだ。
という事で、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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