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『デルス・ウザーラ』黒澤明全作レビュー&イラスト(25)

お疲れ様ですvintageです。さてあまり知られてない?本作。なんと黒澤監督がソ連に招聘されて作ったロシア映画なのです。個人的には大自然の偉大さを感じる大傑作だと思います。
ところで黒澤のカラー作時代になったのでイラストの方は倍以上時間がかかりますが、、、頑張ります(汗

ストーリーはこんな感じ

極寒の地の調査を行う探検隊のウラジミール・アルセーニエフ隊長は、地元の猟師デルス・ウザーラに命を助けられる。親友となった二人、ウラジミールは老いたデルスを気遣い、都会の我が家に住んでもらうことにしたがデルスは自然が忘れられなかった、、、

役者もロシア人、当然オールロシアロケ、脚本、撮影スタッフも日ロ合同ということで黒澤監督が向こうに乗り込んで制作した本作。厳しい撮影環境にもかかわらず大傑作となりました。
『赤ひげ』という集大成を撮ったんですが、その後の『どですかでん』の興行的失敗があり、しかもアメリ映画の『トラ・トラ・トラ』の監督として抜擢され撮影まで開始しておきながら解雇されるという事も重なり、黒澤監督自殺未遂を起こしてしまいます。そんな危機を救ったのはやはり映画をとることだったのでしょう。
見事にソ連の要請で制作された本作で復活を果たします。

本作の見どころは厳しい大自然の雄大さと恐ろしさです。凍えるような猛吹雪、虎の脅威、、、、ウラジミール隊長は危機に陥りますが。自然を熟知したデルスの経験に助けられます。この二人のバディぶりはすごくいいです。三船敏郎と志村喬のような、、、

黒澤監督が人間を超える畏怖すべき自然を描くというのは意外にこれまではなかったんですね。これまでは人間の意志力によって困難を乗り越えていく物語が多かったからです、まさにヒューマニズムの巨匠です。
ところが本作で描かれる自然はとても人間の手に負えるようなものではない。しかしながら最後は自然に帰ってゆくのです。そのような循環のエコシステムを素晴らしい映像で描き切っています。

海外に招聘されて日本人が映画を撮るというのもそれほど例は多くないと思いますが見事にやっけのけました。
大島渚監督の『マックス・モン・アムール』もフランスに単身乗り込み作った作品でこれも素晴らしかった、『デルス・ウザーラ』と合わせ未見の方は大大お勧めします。

ではでは

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