タケシマヒロユキ

落書き系キャリアコンサルタント(国家資格)/技能士二級、外国人雇用労務士、Rebooot代表 長年国内海外で新規事業開発を手がけ来た経験と、趣味であるカルチャーを融合して 共感軸のコミュニケーションを支援いたします htakeshima77@gmail.com

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落書き系キャリアコンサルタント(国家資格)/技能士二級、外国人雇用労務士、Rebooot代表 長年国内海外で新規事業開発を手がけ来た経験と、趣味であるカルチャーを融合して 共感軸のコミュニケーションを支援いたします htakeshima77@gmail.com

最近の記事

キャリコン課題図書『雨の日の心理学』

先日アーカイブ視聴した山崎孝明x東畑開人x東浩紀対談はめちゃ面白かった。その感想はまた別途書くとして、、 本書『雨の日の心理学』は対人ケア職にとって課題図書でありつつ、さらにいうと対人ケアすることになった”ふつう”の人にとっても課題図書だと思う。 ふつうの人にとって心の雨は突然降り出す 家族、友達、同僚などなど、周りの人の心のケアは「はじめるものではなく、はじまってしまうもの」なのだ。(前書き-雨の日のガイダンス) 本書はふつうの人が人をケアする際の補助線を教えてくれ

    • キャリコン課題図書「すべての、白いものたちの」

      韓国の作家ハン・ガン氏が今年のノーベル文学賞を受賞したニュースを見た時点で、僕は不勉強にもこの作家のことは知らなかった。 何冊か翻訳されている著作の中で本書を最初に手に取ろうと思ったのは、表紙のモノクロの写真の印象が強かったのと、日本語版タイトル「すべての、白いものたちの」が、なんというか繊細な余白を残したような感じでピピっときたからだ。予感通り素晴らしい本であり、素晴らしい読書体験だった 冒頭の一文から一気に引き込まれる これ自体は極めて私的で小さな宣言に過ぎないのだ

      • キャリコン課題図書「イルカと否定神学」斎藤環

        本書『イルカと否定神学』を読んで控えめに言って感動して手がプルプルした 一般的に趣味と仕事が一緒だったら幸せだろう。絵を描くのが好きで、それで食っていけるような才能と運がある人はホントに幸せな人生だと思う。僕は10年くらい会社でマネジメントとして人材育成やキャリアのメンターをし、昨年キャリコンを取得してからは自分の会社を設立し対人支援を始めている。一方で趣味として読書、特に小説、哲学、漫画、アニメ、音楽、アートなどカルチャー系などに触れることを若い頃からしてきた。ただ自分の

        • 映画レビュー「ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ」

          トッド・フィリップス監督自体がモンスター化したジョーカーを扱いきれなくなっているように思った。キャラが暴走し監督が抑えるというのも時には映画の奇跡になるのだが、本作では監督の当惑が画面に出てしまっている。これはエンタメ業としてはダメだろう。ホアキンのガリガリ芸とガガさんの歌に救われたところはある。 アメリカンヒーローには3つの型があり、第一原理はダーティーハリーみたいな脱法系で、第二原理はアラバマ物語の弁護士みたいな遵法系だ。一見すると脱法と遵法で相反する原理だがどちらもア

          キャリコン課題図書「眼がスクリーンになるとき」福尾匠

          福尾さんは26歳!本書は若き哲学者によるフランス現代思想家ドゥルーズの『シネマ』の入門書だ。福尾さん曰くドゥルーズの『シネマ』は映画論のようでいて哲学の本なのである。そもそもドゥルーズは映画こそがヒトが世界を認識するモデルなのだといっているので映画を論じることイコール哲学になるのだ。 ところで本書は入門でありながらも、高度すぎて哲学素人の自分には完全に理解できたとはいえない。そもそもドゥルーズの『シネマ』自体が難解であり、でも福尾さんの記述はめちゃくちゃ明晰で人を混乱させる

          キャリコン課題図書「眼がスクリーンになるとき」福尾匠

          キャリコン課題図書「偶然を飼い慣らす」イアン・ハッキング

          キャリア理論家クランボルツの「計画された偶発性」理論によると、個人のキャリア形成の8割は偶然の出来事の積み重ねである。それをチャンスとして考えて、偶発性を引き起こすような行動をしようというもので、キャリコン界では人気あるし僕もいいなと思う。自分自身の生活実感にもとても合っていて特に会社以外のフリーランス活動では偶然の出来事が多い、出会いとか気づきとかいい意味で偶然の出来事ばかりなのだ。というように個人的には偶然って悪くないよなと思うのだけども哲学の世界では偶然ってなんかややこ

          キャリコン課題図書「偶然を飼い慣らす」イアン・ハッキング

          キャリコン課題図書「ひきこもりの30年を振り返る」

          ひきこもり当事者、臨床家、研究者がひきこもりについて当事者や行政や医療、研究者、マスコミがどのように定義し、考え、行動してきたのか、、、過去を振り返り未来に繋げる提言の本。元々僕は斎藤環さんの著作のファンなので、本書も手に取ってみた。 まずひきこもりの定義がこんなにも揺れ動いてきたのかと衝撃を受けた。80年代までは不登校とほぼ同義で子供たちの問題であった。その後年齢が上がると同時に大人の問題にもなる。またマスコミにより犯罪に結び付けられることもあった。 現在では「家族以外の

          キャリコン課題図書「ひきこもりの30年を振り返る」

          キャリコン課題図書「あらゆることは今起こる」柴崎友香

          一気に読んでしまった!!ADHDと診断された作家の内面とその身体と行動の記録だ。 柴崎友香は「きょうのできごと」や「寝ても覚めても」でその独自の気持ち表現とかタイム感とか身体感覚が硬質な文体になっていて割と好きな作家だった。とはいえめちゃくちゃ追っかけていたわけではないが、、、たまたま本屋で別の本を探していた時に見かけて、まず表紙のインパクトがぐっと目に飛び込んできた。虚な表情の人々がエスカレーターに乗っている、画面を縦に真っ二つに分断する柱が映り込み写真の構図としては破綻し

          キャリコン課題図書「あらゆることは今起こる」柴崎友香

          ”サラリーマン”の再起動は可能か(4)

          今日はおっさん的メンタリティーの話 この投稿では50-60代シニア層の活性化をテーマにしているが、当然のことながら対象には男性、女性は入る。この世代だと男性はサラリーマン、女性はOLと呼ばれていた。 おっさんにはおっさんの悩みがあるが、この世代の女性には固有の悩みはあるだろう。それは女性管理職増加の波に乗れなかった人の場合だ。 かつて”OL”は結婚したら寿退社、出産したら退社が一般的であったし仕事内容もサポート的なものとか管理部門の一部が多かった。ただある時期からこの流れが

          ”サラリーマン”の再起動は可能か(4)

          ”サラリーマン”の再起動は可能か(3)

          日本的システム全体を変えることは容易ではない。そうなると打つ手なしなのか?? いやいや、それでもやれることはある。システムが変わるための条件は下記2つだと前回述べた。 日本の人事システム総体が変わること 一部の会社ではなく、市場全体が同時に変わること 普通に考えて歴史的慣習的に成立してきたシステムを一気に変更するということが成立するのは困難だろう。だとすると現実的なのは 総体を変えずに一部からできること 市場全体ではなく1社からできること を考えることが有用だと思

          ”サラリーマン”の再起動は可能か(3)

          ”サラリーマン”の再起動は可能か(2)

          昨年末の調査。毎年のように日本の順位は低下しており慣れっこになってしまったところはあるが、改めて衝撃を受けた。日本の生産性が低い要因は、イノベーションが起きていない、付加価値商品が出せていない、デフレで価格競争、サービス業の生産性の低さ、中小企業の生産性の低さなど複合要因であると言われている。 では、上記の要素をさらに深掘りしなぜなぜ分析をするとどうなるか?要因の一つには少子高齢化の影響があるのではないかと想定される。50代以上の役職無しシニアが多く、若手が少ない会社でイノベ

          ”サラリーマン”の再起動は可能か(2)

          ”サラリーマン”の再起動は可能か(1)

          今とても気になっているのが現在50歳くらいから60代半ばのサラリーマン層のことだ。彼ら/彼女らは会社でイキイキと働いているのだろうか。ここでサラリーマン層という言葉だが、ビジネスパーソンというのが今の言い方であり、サラリーマンというと昭和感溢れる。ただ現在50歳くらいから60代半ばの人たちを対象化するのにはサラリーマンという言葉が相応しいと思う。言い方だけをビジネスパーソンと変えたところで、本人たちの意識も会社側の意識もそうそう変わるものではないからだ。したがってここではあえ

          ”サラリーマン”の再起動は可能か(1)

          HATRA - AI時代のクチュールの復権

          数年前からHATRAというブランドに注目している、何がきっかけで知ったのか覚えていないのだけど、確かネットでモデルさんが着ていた動画を見たのが最初だったと思う。その後音楽家(という狭い括りを超える人だけど)菊地成孔さんのバンド、”ラディカルな意志のスタイルズ”のコスチュームやビジュアルを担当したり自分の好きなもの同士が集結するような嬉しい感覚があった。 HATRAはデザイナー長見佳祐さんが2010年に立ち上げたブランドである。長見さんは3DCGで服を作るCLOというソフトウ

          HATRA - AI時代のクチュールの復権

          映画レビュー「デューン砂の惑星 part2」

          ヴィルヌーヴ監督の『デューン砂の惑星 Part2』、待ってましたよ〜 全体的に映像のクオリティが最高でした!砂漠の広大さ、砂嵐の恐怖、敵方の採掘船とのバトルの迫力、シャラメ、ゼンデイヤは美しかった。それにしてもゼンデイヤ、フローレンス・ピュー、レア・セドゥ、アニャ・テイラー=ジョイという人気若手女優が一度に出る映画ってよく考えるとすごいな、、、、 以下ネタバレあり、多少文句ありですがよろしくお願いします 『デューン』というとやはり、登場人物とかメカの造形が魅力のかなりの部

          映画レビュー「デューン砂の惑星 part2」

          映画レビュー『ファンタスティック・プラネット』

          久しぶりに配信で観ました、 「ファンタスティック・プラネット」、原題は「La Planète sauvage」英語タイトルが、「Fantastic Planet」なので日本では英語タイトル通りで知られている。原作は1957年に書かれたSF小説「オム族がいっぱい」(Oms en série) なんでタイトルのことにこだわるかというと、レヴィ・ストロースの「野生の思考」原題「La Pensée sauvage」に映画のフランス語のタイトルが似てるなと思ったから。ルネ・ラルーの

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          キャリコン的映画レビュー『落下の解剖学』

          サスペンス感満載な冒頭、しかもスタイリッシュな映像でテンポも良くグッと引き込まれる。「暗くなるまで待って」みたいな感じなのかな〜と思いきや、、、、 サスペンスものから、法廷劇になり、それもスッキリするというよりは、審議が進むにつれて事態は混沌としてゆく、不受理にすら感じられる世界。夫婦の感情のぶつけ合いも本音なのか、フェイクなのか、あるいは罠なのか。「マリッジストーリー」とか「ブルー・バレンタイン」の影響も感じさせるがあちらの方は本音vs本音という形なので、強烈にお互いやな

          キャリコン的映画レビュー『落下の解剖学』