『隠し砦の三悪人』黒澤明全作レビュー&イラスト(18)
お疲れ様ですvintageです。ジョージ・ルーカスが本作に影響を受け『スター・ウォーズ』を撮ったという事で有名な作品。この時代の日本映画は世界に影響を与えていてすごいですね、残念ながら今そこまでのパワーは無いように思えます、、、
ここからレビューです、、、
★いや~痛快痛快、この痛快さは重い作品が多い黒澤明映画にあっては意外に珍しいんですよね。黒澤作品常連の俳優陣がすばらしいです
まず剣術と知力に優れた武将を演じる三船敏郎は安定の渋さ、千秋実、藤原釜足のコミカルなコンビ、この二人のイメージがSWではC3PO、R2D2になったようです。姫を演じた上原美佐は学生だったけど大抜擢。
強烈な姫感がありますね、演技が上手いとか下手とかではなく位の高い姫そのものです。売られそうになった百姓娘を買い取って助けようとしたときに、六郎太に
「買い戻せ!」
と命じるセリフなんかしびれますな、、、あと処刑寸前で百姓娘が自分を姫の身代わりにしようとしたときに、
「もうよい!」
というセリフも。いや~まさに姫です。今の映画だと姫が感極まる演技しそうだけど、この死を恐れない一喝ぶりはまさに姫!
ちょっとナウシカ(&クシャナ)の原型っぽいなと思ったり。
それから脇役人生のvintageとしては今回も脇役に注目!
藤田進です。もともとは『姿三四郎』では主役だったのですが、三船敏郎の登場とともに、さらに東宝のゴタゴタもあったりしたのか、、黒澤映画で主役をやることはなくなってしまいました。
藤田進は『姿三四郎』でわかるとおり真っすぐでストイックな体育会系のキャラが似合う。
黒澤明はエンタメ大作本作『隠し砦』で藤田を重要な役で復活させたんです、それだけで感涙もの。
しかも三船敏郎と完全に同格の重要度でなんですね。そして素晴らしい威厳のある演技で応えました。
なにか長年のもやもやを吹き飛ばすような存在感の好演。世界の三船敏郎とタイマンでも全く引けを取らない。
火祭りのシーンは素晴らしい。このカーニバル感、多幸感、
ここは姫が地上の人々の生きるエネルギーを感じる重要な場面であり黒澤らしいダイナミックな映像とカット割りでこの映画の最大の見せ場です。
金の延べ棒を隠した薪を怪しまれないようにあえて火に投じるという繋がりが物語的に自然であるし、そこからの金が燃えてしまう感覚、姫の活力のある笑顔、対照的な千秋実と藤原釜足の泣き顔が素晴らしくこの火祭りのシーンだけで5億点ですね
俳優、脚本、映像すべてが高水準の一作です
ではでは