レゲエ映画『バビロン』鑑賞記
1980年制作のこの映画、衝撃的な内容から世界的に公開が見送られていたんですが、2019年にニューヨークでプレミア上映され今回日本でも公開となりました。ヒューマントラスト渋谷で観てきました(ネタバレあり)
ちなみに、、、ブラピ主演の『バビロン』じゃないっすよ
ストーリーはこんな感じ
いや~衝撃を受けました。冒頭から前半はレゲエのサウンドシステムをめぐってライオンの仲間のバカ騒ぎが中心でありポジティブなバカエネルギーにあふれています。
デニス・ボーヴェルが音楽を担当しており、レゲエ、ダブ、ラヴァーズがかかってかなりノリノリのムードです。
アスワドの名曲『Warrior Charge』も流れます。クラブの雰囲気もいいですね、昔新宿に69というレゲエクラブがありよく行っていました。映画見てて急に思い出した。
後半に入り、近所の白人の人種差別的な罵倒あたりから映画の雰囲気が一気に緊張感が高まってきます。特に仲間の唯一の白人メンバーに対する軋轢は見ててつらいものがありました。
ただこの後半でも、ゆるりとしたダブサウンドが流れていて独特の映画のリズムが感じられるのが面白い
個人的に衝撃を受けたのはこの時期のロンドンの人種差別のひどさ。80年代のUKというとTHE POP GROUP、The Specials、Adrian Sherwoodなどなどパンク、ニューウェーブのミュージシャンがレゲエやダブ、スカを取り入れていて、みんな人種を超えて仲良くやっているんだなあとざっくり思っていました。しかしこの映画をみると黒人と白人の間の壁はそう簡単に壊れるものではなく、冷水をあびせられる思い。
ライオンがレゲエの楽曲の使用権を白人のプロデューサーから買う場面はなんともモヤモヤします。すでにレゲエという音楽はビジネスに取り込まれていたのか、、、
ただ、ミュージシャン同士仲良くやっていたのもまた一面の真実なんでしょう。(と思いたい)
今作はドキュメンタリー映画のようなクールな世界観がよかった。主人公のブルーをめぐり黒人と白人という人種差別の面はもちろんクローズアップされているのですが、ブルーの家族内の軋轢、彼女とのいざこざ、キリスト教会とラスタファリアニズムの対比などが描かれ、ブルーはそれらのどこにも属せない感じがでていました。つまり人種差別だけでなくいろんな場面でのコミュニケーション不全が生じているのです。音楽に救いをもとめる一人の貧しい若者というところがみごとに”青春映画”になっていました。
今年も残り三か月ですがベスト級の一本でした
ではでは