
中高年者の膝痛について➀
こんにちは、ヘッドトレーナーの小泉です。
数ある記事の中から興味を持っていただき、ありがとうございます。
本日は中高年の方の悩みとして多く上がる【膝痛】について触れていきたいと思います。書くことが多く長くなってしまうため、2回に分けて投稿します。ぜひご覧ください。
・膝の解剖と特徴
膝関節は人体で最も大きな関節です。膝蓋大腿関節と大腿脛骨関節の2つの関節の総称で、脛骨、大腿骨、膝蓋骨で構成され、歩行や方向転換、その他の多くの動作を痛みを感じることなくスムーズに行うことができます。
膝蓋骨は大腿四頭筋と脛骨とをつなぐ腱の間にあり、膝を伸ばす際に筋肉の収縮をうまく脛骨に伝えるための滑車の役割を果たしています。
また、膝蓋骨は膝関節を屈曲する際は下方に、伸展する際は上方に移動することで機能的な関節な動きを実現しています。
靱帯は内側側副靱帯、外側側副靱帯、前十字靱帯、後十字靱帯の4つがあり、膝関節の安定性を保つ役割を果たしています。
膝関節内の骨の表面は、それぞれ軟骨で覆われていて、関節が滑らかに動くようにできています。また、脛骨と大腿骨の間には半月板があり、2つの骨の軟骨への衝撃が吸収されるようになっています。さらに、膝関節は関節包という袋に包まれ、その中は関節液と呼ばれる液体で満たされています。関節液は、関節を滑らかに動かす潤滑油の役割を果たすと共に、軟骨に酸素や栄養を与えています。
・中高年者によくある膝痛
膝の痛みと一口に言っても、その症状や原因は実に多様です。膝の痛みを根本から改善するためには、まず原因を見極め、医療機関での最適な治療やリハビリ、機能的な動きの獲得が必要不可欠です。
中高年者の膝の痛みの場所は主に膝の内側・外側・膝蓋骨上部、下部の4つに分類できますが、以下はトレーナーが対応できる病態かと思います。この項では概要のみとし、部位による疼痛評価等について評価とアプローチの部分で説明します。
➀ 膝内側痛
・変形性膝関節症
⇒ 日本で変形性膝関節症を患う人は約2530万人と言われており、60歳以上の有病率は男性で45%、女性では70%にものぼるとされています。軟骨がすり減ることによって関節内に炎症が生じることで痛みが出現します。主な発症原因が過体重と筋力不足、筋の柔軟性不足になります。
・鵞足炎
⇒ 鵞足とは膝の内側にある縫工筋、半腱様筋、薄筋の腱の付着部炎および同部の滑液包炎とされています。ランナーの機能障害として代表的な病態ですが、中高年にもたびたび起こる病態で、歩行または機能障害が発生します。
② 膝外側痛
・腸脛靭帯炎
⇒ 腸脛靭帯とは大腿四頭筋の外側に位置し、大殿筋と大腿筋膜張筋の付着部から脛骨外顆に停止する筋膜様組織です。ランニングなど繰り返しの膝運動で、腸脛靭帯と骨性隆起である大腿骨外側上顆との間で摩擦が生じ限局性の炎症がおこり、疼痛を生じる病態を腸脛靭帯炎といいます。鵞足炎同様、中高年の方でも発症するため、理解しておくことが必要です。
③ 膝蓋骨上部痛
・大腿四頭筋腱炎 (ジャンパー膝)
⇒ ジャンプや着地、キック動作を頻繁に行うスポーツ選手に多く発症しますが、中高年でも発症する可能性があります。
日常生活では、立ち上がりの際に膝の前面の筋肉が収縮した際に痛みを生じたり、階段を降りる際に膝の上や膝の下に痛みを感じることがあります。しゃがみこみ動作や、床に膝をつけるなど圧迫して炎症部分にストレスがかかる場合でも痛みが生じることがあります。
④ 膝蓋骨下部痛
・膝蓋下脂肪体炎
⇒ 膝蓋下脂肪体とはパテラ (膝蓋骨) の下にある脂肪組織で、膝の曲げ伸ばしに合わせて形を変え、膝関節のクッションとして重要な役割を果たしています。 加齢や使い過ぎ、怪我などにより炎症が起こると、パテラ の下に痛みや違和感が出ることがあります。 膝蓋下脂肪体の痛みは、階段の昇降や立ち上がり時に痛みが強くなるなどの特徴があります。
・Take Home Message
➀ 膝関節は人体で最も大きな関節で、膝蓋大腿関節と大腿脛骨関節の2つの関節の総称で、脛骨、大腿骨、膝蓋骨で構成されている。
② 膝蓋骨は膝関節を屈曲する際は下方に、伸展する際は上方に移動することで機能的な関節な動きを実現しています。
③ 中高年者の膝の痛みの場所は主に膝の内側・外側・膝蓋骨上部、下部の4つに分類することができる。
④ 主な痛みとして変形性膝関節症、鵞足炎、腸脛靭帯炎、大腿四頭筋腱炎、膝蓋下脂肪体炎がある。
内側の半月板損傷は中高年で多い整形疾患ではありますが、トレーナーがかかわれるのはリハビリ後になるケースが多いため、割愛しました。
もちろん上記整形疾患もリハビリ後に関与するケースも多々あります。
次回は上記5つの病態に対する評価とアプローチについて投稿します。
ぜひご覧ください。