【フレイル予防】高齢者の「食」が細くなった時のチェック✅
大学院で学んだ公衆衛生学の知見を元に、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。
今回は、リハビリの進行や帰結に悪影響をもたらす「フレイル」や「サルコペニア」を未然に防ぐための知識を共有します。
どちらも、「運動する」「食べる」「社会参加する」事が、予防に重要とされています。ただし、上記のどの項目においても、短期間それが十分でなかったとしても、それほど目に見えて悪くなることはありません。
しかし、早めに対処をしなければ、長い時間をかけて、元に戻せないほどに弱ってくるのです。
この記事では、対象の人が、「食が細くなった」そして「体重が減少してきた」と感じたときに、ご家族でも簡便にスクリーニングする内容と方法をお伝えします。
‖ ① 口腔内の環境はどうですか?
歯の状態・口の中の乾燥などの問題がありませんか?義歯(入れ歯)に不適合がある患者さんは、よく見かけます。
後期高齢者においては、定期的に歯科に受診できる体力が必要かもですね。
(歯、口腔内の問題は後回しにされやすいですよね)
歯科に行けないとすれば、ROAG(改訂口腔アセスメントガイド:Revised Oral Assessment Guide)や
OHAT(ORAL HEALTH ASSESSMENT TOOL)などの簡易的な表を用いて問題を表面化させると良いと思います。
↓ 過去記事で説明をしています(オーラルフレイル対策)
‖ ② 飲み込みにくさはどうですか?
専門的には、飲み込みの造影検査などを行いますが、急に病院に行ってできるものではありません。
お持ちのスマホ(これを見ているPC)で、「ネスレ」「イートテン」と調べてみてください。10個の質問に答えるだけで、簡単に飲み込みの状態がチェックできる便利なツールです。
チェック項目と言っても、何を?となりますので、食べているところもよく観察して、項目を埋めていってみてください。
‖ ③ 食べ物の味はどうですか?味覚に変化はないですか?
高齢者では、その時のコンディションや、薬剤の影響、亜鉛不足による味覚障害などによって、感じる味に変化があるとされています。
特に注意すべきは、過去の健康指導から時間が経っているにも関わらず、塩分や糖分の制限が、そのまま放ったらかしになっている可能性がないかという事です。
‖ ④ お薬を飲みすぎていませんか?
現在、必要なだけのお薬の数になっているでしょうか?
一つでは問題がない薬でも、飲み合わせで副作用が出ることもあります。
複数の医療機関から多数の処方を受けている場合には調整が難しいので、処方内容を一元管理する主治医を決められるといいですね。
それも難しい場合は、「お薬手帳」を活用して、薬局の薬剤師さんに相談してみましょう。良いアドバイスをくれる事が多いですよ。
‖ ⑤食事に関わる体力が低下していませんか?
食事をしているうちに姿勢が崩れてきたり、食べるうちに疲れを言うことはないでしょうか。
座る姿勢が合っていないことや、食べ終わるまでの体力が無いのかもしれません。
体力を奪うような、基礎疾患が無いか調べることや、運動の習慣を見直しましょう。
体を動かさないことが、余計に食欲低下に結びつくため、運動を起点に良いサイクルが作れれば良いのですが、、、。
この辺りは、理学療法士が活躍できる分野なのですが、なかなかリーチしにくいんですよね。
まとめ
今回は、フレイル予防として、「食が細くなった」そして「体重が減少してきた」と感じたときに、ご家族でも簡便にスクリーニングする内容と方法をお伝えしました。
主に、「口の中」「飲み込み」「食べ物」「お薬」「体力・運動」について記載しました。
これをよく見返してみると、「食や体重」だけをみても
「口の中の観察」:「家族」「介護士」「看護師」
「飲み込み」:「医師」「言語聴覚療法士」
「食べ物」:「管理栄養士」
「お薬」:「医師」「薬剤師」
「体力・運動」「理学療法士」
と、本人を取り巻く、家族と多くの職種で協力・協働して進めなければ、一職種で何ができるわけでも無いこともわかります。
(それぞれが、クロスマッチしているので、「これがこれ」と縦割りできませんが)
心理面、食事の環境などを含めると、もっと多くの職種が関わる必要がありそうですね。(臨床心理士や作業療法士など)
これからの「フレイル予防」を、各医療専門職で協力し総力戦で行っていけるように、「健康的な社会を作る」ための発信や活動を継続していきます。
今後ともよろしくお願い致します!
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