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【感想文】石黒達昌『日本SFの臨界点』

✒️あらすじ

1926年の北海道、ある医師の診療所に運ばれてきた女は特異な症状を示していた…圧巻の幻想SF「雪女」、人の血液を養分とする異様な植物をめぐって科学という営為の光と影を描いた「冬至草」のほか、論文捏造事件を予見した「アブサルティに関する評伝」、架空生物ハネネズミを横書き論文形式で語り大江健三郎・筒井康隆に絶賛された芥川賞候補作など、伝説的作家による全8篇を集成!伴名練渾身の解説40p超を併録。

ハヤカワ文庫HPより

✒️感想

2021年12月31日 読了
お気に入り度 ★★★☆☆

石黒さんのSF短編集になります。作者がゴリゴリの理系ということもあり、かなり設定が凝っていたなぁというのが雑感です。どこがフィクションなのか、素人の私には分からないくらいでした。いくつかある短編のうち『冬至草』『雪女』は、知識がなくても読みやすいと思います。このお話は、作者の出身でもある北海道が舞台。理系ならではの緻密な設定と、物語としての文学的な表現のバランスが良く、イチオシの話です。リアリティたっぷりのSFを堪能できます。『ALICE』も面白かったのですが、理解するのが難しかった上、精神的にちょっと具合が悪くなりそうな内容でした……。他の作品も、かなり設定が凝っているのは分かったのですが、理系の知識に乏しい私にはストーリーを完全に理解するのは難しかったです……。とはいえ、小説を書いて一筋という方とは全く違う世界観を楽しめることは間違いないですね。

✒️こんな人におすすめ

 なんちゃってSFではなく、設定が凝っているSFをしっかり読みたいという人にオススメです。世界観は全体的にダークですので、読んでいてワクワクするというより、SFを通していろいろ考えさせられる内容が多いと思います。
 寒い季節の話が多いので、雪が深く降り積もっていくような日に、人気のない少し肌寒い様な場所で読むと雰囲気が出ますよ(読めば分かると思います笑)!

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