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アーティスト活動で成功する方法#5

第1章 アーティスト活動のレベル

第2章 Lv.0の初心者が成功する方法

第3章 Lv.1の初心者が成功する方法

第4章 Lv.2の初心者が成功する方法

第5章 Lv.3-1の中堅が成功する方法

Lv.3-1:人生充実してるかも!黒字の中堅エンジョイ勢
【実力】★★☆【収益力】★★☆【充実度】★★★
「YouTubeの再生数やチャンネル登録者数は4桁以上!」「ライブをすればたくさんお客さんが来てくれる!」→黒字で活動できている状態の人です。
①正社員や個人事業主として他業界で働きつつ、やるからには趣味も本気でやるぜ!というスタンスで活動(バズったりプロになれたりしたらもちろん嬉しい)②主婦やフリーターや派遣社員等、自分が生きやすい環境で適度に活動(これが私の生きがいなの)……の2パターンが中心でしょうか。

死ぬ気でがんばり、Lv.2の目標の前提条件である『黒字化』を達成したあなたは、歌であれ絵であれなんであれ、明らかに「お金をつかう趣味」の領域を超えた活動をしています。

さすがです!素晴らしいです!!

しかし、あなたが立派なアーティストであることと、アーティスト活動で生計を立てていくことは、別のお話です。


20歳のころ、ピアノと歌の師匠に言われました。

「どんな分野でも、25歳までに10万円を稼ぐことができたら、一生やっていけるぞ。がんばれ」。

彼は、メジャーでミリオンヒットを記録したこともある作曲家でした。

私は彼の言葉を胸に、フリーターをしながら、やってみたかったことを全部がんばりました。結果として、シンガーソングライターとしては鳴かず飛ばずでしたが、物書きとしては幾つかの仕事を得られました。歌詞提供やコラム執筆など、全てを合計して、10万円以上稼ぐことができたのです。

あれから時間が経ち、フリーランスとして経験を積んだり、出版社の正社員として働いたり、なんだかんだで文筆業を続けられています。そうした自分の体験を含め、私は今も、師匠の言葉を信じています。


改めて、アーティスト活動で稼ぐことは大変です。一発当てるだけでなく、安定して稼ぎ続けるなら、もっと大変です。どれだけ才能があっても。

また、アーティストのやりたいこと=芸術と、売れること=ビジネスは、しばしば合致しません。努力や忍耐にも限度があります。

やりたいことをやるためとはいえ、やりたくないことをやることはストレスになります。気合や根性で乗り越えられるものではなく、セクハラやパワハラなど、人間として受け入れがたい何かを強要される可能性もあります。


ひとは、幸せになるために生きているのだと、私は思います。

その「幸せ」とは、できるだけ多くの好きなことやものやひとに囲まれて過ごすことだと考えます。

アーティスト活動に限らず、就職でも結婚でも趣味でも良い家に住むでも、「やりたいことをやって生きていこう」とするのは、幸せになるためのはずです。それをすることで不幸になってしまっては、本末転倒です。


稼げる仕事で生計を安定させつつ、アーティストとしてやりたいこともやるという生き方は、輝かしい人生の選択のひとつです。


働き方の多様化は、コロナ禍にあって加速しています。これから、副業や複業は、ますます浸透していくでしょう。

その先駆けとして「生計を立てるための本業を持ちながら、アーティスト活動もやっていこう」と決めた方のために。

あなたがより幸福に、寿命の尽きる日までアーティスト活動を続けていけるように、幾つかのアドバイスをお伝えします。

(1)就職する

まずは、経済面で安定するために就職しましょう。

職探しにおいて最も重要なポイントは、「副業が禁止されていないこと」「時間の自由がきくこと」「十分な年収が得られること」です。


「副業」については語るまでもありません。あなたは「お金をつかう趣味」ではなく、「黒字のアーティスト活動」を行っているわけですから。仕事の募集要項や面接にて、副業が可能かどうか確認しましょう。

「時間の自由がきくこと」も重要です。仕事に時間を奪われ、アーティスト活動ができなくなったら、元も子もありませんから。残業の多寡や、休みの取りやすさをよく調べましょう。

「十分な年収」が具体的にどのくらいかは、人によるでしょう。衣食住のグレード、趣味や交際費など、総合的に「自分が快適に過ごせる金額」を考えてみてください。

参考までに、全国労働組合総連合は「25歳の若者が人間らしく暮らすためには、(月平均の法定労働時間173・8時間を働くとして)最低でも時給1500円が必要」と試算しています。


「副業が禁止されていないこと」「時間の自由がきくこと」「十分な年収が得られること」。私の体感として、これら3つを満たすのはIT系の企業や事務職が多いです。医歯薬系など、手に職があれば、開業するのもいいですね。

なんであれ、職業選択に完璧な正解はありません。入社してみないと分からなかったり、時と場合によって変わったりします。幸い、昨今は転職しやすい社会ですから「ダメなら次に行こう」くらいの気持ちで探しましょう。


就業形態は何でもいいと思います。ただ、妥協しないことをお勧めします。


私の体感では、「夢を追いかけて生きています」と語る方の約70%は非正規雇用、時給1000円前後で働いています。

ちなみに、国税庁の「令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、非正規社員の平均年収は175万円だそうです。


夢追い人の皆さんが非正規雇用を選ぶのは、学歴や職歴が足りない場合もあるかもしれませんが、なにより「副業が禁止されていないこと」「時間の自由がきくこと」の2つを重視しているからでしょう。

休みたいときに休んだり、精神的に縛られることを防いだり、あらゆる面での自由を重視するからでしょう。

「今は貧乏でも、アーティスト活動を成功させれば良い生活ができるはず」という、将来への希望もあるかもしれません。


しかし。

2015年に「ソニーミュージック史上最高峰のボーカルオーディション」と銘打たれた「SINGIN’JAPAN」のグランプリ特典は、100万円でした。

毎年春に公募が行われているKADOKAWAの電撃小説大賞では、大賞受賞者に300万円が贈られます。


一方、国税庁の「平成30年分 民間給与実態統計調査」によると、20~24歳の平均年収は267万円、25~29歳では370万円です。


つまり、あなたの年齢や性別にもよりますが、アーティストとして賞レースに勝つより、正社員として一年間働いた方が、確実に多く稼げるのです。

さらにいえば、一つ賞レースに勝っても、次につながるとは限りません。正社員ならば毎年同じくらい稼ぎ、なんなら昇給も見込めます。

「絶対にプロのアーティストになるぞ!」「この活動だけで食べていく!」と考えている人は、バイトや派遣の安い給料で働きながら一獲千金を目指すという賭けをしてもいいかもしれません。

しかし、本章のレベルに至った方には、オススメできない生き方です。


非正規雇用が悪いと言いたいわけではありません。十分な年収を稼げるのなら、問題はないでしょう。

私はこれまでにアルバイト・パート・派遣・業務委託・正社員のすべての雇用形態で働いてきました。最低時給は900円、最高時給は2700円でした。時給換算すると、正社員より派遣の方が高給だった場合もあります。


とにかく、ちゃんと稼いで、ちゃんと食べて、ちゃんとした家で寝て、健康を保ちましょう。アーティストとしても、ひとりの人間としても。

(1)のまとめ

快適なアーティストライフと幸せな人生を実現するために、「副業が禁止されていないこと」「時間の自由がきくこと」「十分な年収が得られること」の3つの条件を満たす職業に就きましょう。

最初の就職先がいまいちであれば、昇進や転職を狙いましょう。妥協せず、30歳になっても50歳になっても、理想に近づくため努力を続けましょう。

(2)結婚する・子どもをもつ

昨今、「結婚だけが幸せじゃない」とは言いますが。

想像してください。

10年後、20年後、50年後。

自分はどんどん年老いて、目は霞み、耳は遠く、腰は痛み、病気がちになります。親兄弟は、次々と亡くなります。子ども時代の友人たちとは、時の流れとともに疎遠になっていきます。

想像してください。

老いた体で、たった一人で過ごす余生を、楽しめる自信がありますか?


もし若いうちに結婚していれば、伴侶や子ども、孫とともに余生を過ごせます。家庭をもったことで生まれる、新しい交友関係もあるでしょう。


精神面以外でも、ひとりよりふたりのほうが有利です。

もしあなたが年収400万円として、同じ年収の相手と結婚すれば、世帯年収800万円となります。ふたりで暮らせば、家賃や食費など節約できる部分がありますから、より豊かな生活となるでしょう。


同様に、昨今、「子どもをもつことだけが幸せじゃない」とは言いますが。

全ての生命は、次世代に命をつなげるために生まれてきます。犬でも猫でも、鳥でもカエルでも、アメーバでも。杉でも、稲でも、向日葵でも。

当然、人間も同じです。


また、子を成すことは、最も原初的な「創作」でもあります。

歌でも絵でもどんな分野でも、0から1を生み出す力をもつ素晴らしいアーティストの皆さんだからこそ、ぜひ、子どもをもってほしいと思います。


また、子どもがいれば、人生は何倍も豊かになります。

たとえば高校の文化祭。

普通に生きていれば、高校の文化祭は、人生で3回しか経験できません。

しかし、もしあなたに子どもがいれば、プラス3回、味わうことができます。今度は保護者、観覧者として。

頑張る子どもの姿を見て「あんなに小さかったのに、もうこんなに大きくなったのか」と感動したり、「ああ、自分も○年前はこうだったなぁ」と懐かしく思い出したりできます。

そうした心の動きは、新たな創作にもつながることでしょう。


もちろん結婚したり、子どもをもったりすることによるデメリットもあるでしょう。自由がなくなったり、ストレスを抱えたりもするでしょう。

しかし、幸福も不幸も、全て創作意欲へ変換できるのがアーティストの強みではありませんか?

何よりも恐れるべきは、刺激のない毎日です。


そして、自分のためだけに生きることは、時に辛いものです。誰かのために生きる、創作するというモチベーションがあってもいいでしょう。

10年後、20年後、50年後。

伴侶や、立派に成長した子どもと一緒に、ギターを弾いたり写真を撮ったり、ともにアーティスト活動ができたら楽しいと思いませんか?


200年前に書かれたアンデルセン童話にも、1000年前に成立した古事記や日本書紀にも、なんなら紀元前に成立した聖書にも、「人は生まれ、成長し、異性と結婚して子を成し、死にゆくものだ」と描かれています。

よっぽど具体的に深刻に「自分は結婚できない」という理由があるのでなければ、結婚して子供をもったほうが、アーティストとしても一人の人間としても、豊かに生きることができるでしょう。

(2)のまとめ

快適なアーティストライフと幸せな人生を実現するために、人生の伴侶を探し、子どもを得ましょう。互いを尊重できる関係を築けたらいいですね。

(3)ペットを飼う・植物を育てる

犬でも猫でも、鳥でもカエルでも、命の価値は変わりません。ペットを飼うことは命を預かること。子どもをもつのと同じ気持ちで迎えるべきです。

それよりは稲でも、向日葵でも、植物の方が気は楽かもしれません。

いずれにせよ、「人間ではない何か」との暮らしは、あなたの人生をより豊かにすること請け合いです。


なぜなら、予測不可能の出来事をもたらしてくれるからです。


言葉でコミュニケーションがとれないからこそ、天候など人智のおよばない物事に左右されるからこその面白さ。思いもよらない可愛さ、健気さ。時には怒り、悲しみももたらしてくれるでしょう。

全てがあなたの創作意欲を刺激してくれること間違いなしです。

ちょっと嫌なことがあっても、癒してくれますしね。

(3)のまとめ

快適なアーティストライフと幸せな人生を実現するために、ペットを飼ったり、植物を育てたりしてみましょう。

(4)Lv.1の基本を大切に、活動を続ける

あなたはここまで、アーティスト活動の黒字化を成し遂げるために、死ぬ気でがんばってきたことでしょう。

確実に稼げるグッズを作って売って、内容を工夫した配信を毎日のように続けて、戦略を練ってクラウドファンディングをして。

大変だったと思います。

おつかれさまでした。


その経験を生かして、ここからは活動スタイルを変えましょう。

「死ぬ気で黒字化を達成する」ための短期戦から、「死ぬまでアーティスト活動を続けていく」ための長期戦にシフトしましょう。


今後は、アーティスト活動の収支はそこまで気にしなくていいです。配信でどれだけ稼いでいても、やりたくなければやめればいい。まったく稼げそうになくても、作りたいと思ったグッズは作ってしまえばOKです。

一度、黒字化を経験したあなたには、適切な金銭感覚が身についているはずです。ファンを大切にする方法も分かっているはずです。多少、やりたいようにやっても、大きな破綻を起こすことはないでしょう。


なんといっても、あなたというアーティストには、今後一生絶対に離れることないスポンサーがついています。そう、あなたという労働者です。

そのために、あなたはこの道を選んだはずです。

引越しや転職や産休や育児など、色んな事情でしばらく休む時期はあったとしても。歌手なら、声が出なくなるまで。画家なら、絵筆が持てなくなるまで。生涯に1000曲作る、1000回ライブをするといった目標もいいですね。


大切なのは、Lv.1の基本をおろそかにしないことです。

どんなに忙しくなっても、練習を続ける。内輪にこもらず、アーティスト仲間を増やしていく。

表立った活動ができない時期も、SNSなどの発信は怠らない。時には背伸びして、自分の可能性を試す。アーティスト活動以外でも遊ぶ。


やりたいことをやりたいように続けていって、いつかどこかで誰かが見つけてくれたら、時代に選ばれたら万々歳。そんなスタンスでいきましょう。

(4)のまとめ

快適なアーティストライフと幸せな人生を実現するために、寿命が尽きる瞬間までを見据えて、活動計画を立てましょう。

(5)幅広いアーティスト仲間と関わる

死ぬ気でがんばり、Lv.2の目標の前提条件である『黒字化』を達成した今のあなたは、歌であれ絵であれなんであれ、明らかに「趣味」の領域を超えた活動をしています。素晴らしいことです。


さて、この境地に至るまで、どのくらいの時間がかかりましたか?

アーティスト活動を始めた当時の知り合いのうち、何人が、今も活動を続けていますか?


現在の日本社会は、夢追い人にとって暮らしやすいものとは言えません。

「夢を諦めること=大人になること」だとか、「いい年して夢を語るなんて馬鹿らしい」だとかいう風潮は、まだまだあります。

本章で推奨している「生計を立てるための本業を持ちながら、アーティスト活動もやっていこう」というスタンスは、一般的ではありません。


学生時代から20代後半まで色々と頑張ってみても、次第に疲れ、夢破れ、下手をすると病み、このフィールドを去ってしまう人は多いです。私の体感では、大きな境目は、30歳くらいでしょうか。


逆に、100万回に1回のチャンスを掴み、才能を発揮し、スターへの階段を駆け上った人も、このフィールドを去ります。彼ら・彼女らは、生き馬の目を抜く業界で、その道のプロとともに生きていくことになります。


要するに、「ここ」にいる人は、少ないのです。


若いころを思い出してください。あなたが、まだLv.0~Lv.2だった日々を。当時のあなたは同レベルの同年代や、今のあなたと同じLv.3-1のステージにいる年上のアーティストと絡むことが多かったはずです。

同レベルの同年代と切磋琢磨したり、年上のアーティストを見て「こんな風に年はとりたくないな」と思ったり、「こうなりたいな」と憧れたりしていたことでしょう。


今、生き残っている同年代とのつながりは、ぜひ大事にしてください。年上の方々も同様です。現代の日本社会ではまだ数少ない「Lv.3-1の中堅」同志として、支え合い励まし合い、確固たる立場を築いていきましょう。

さらにこれからは、かつて自分が先輩たちと関わっていたように、後輩たちとも関わってください。あなたがこの数年間で得たものを、ぜひ後輩たちに分け与えてください。背中を見せてやってください。


そうした積み重ねが、この国、いや世界を変えていくと、私は信じます。

(5)のまとめ

あなたを含む全てのアーティストの幸せな人生を実現するために、幅広い年代・レベルのアーティストと関わり、「Lv.3-1の中堅」の層を厚くしていきましょう。

***

上記5点に注意しながら、アーティストとしても人間としても幸福な日々を送ることができれば、最高の人生だといえるでしょう。

おめでとうございます!

どうかあなたの寿命が尽きるその日まで、素晴らしいひと、素晴らしいアーティストでいてください。

ここまで読んでいただいて、ありがとうございました。

第6章 Lv.3-2の中堅が成功する方法

第7章 「平凡なアーティスト」が溢れる時代へ

おまけ

ここから先は、現時点での私の知識に基づき、より具体的な内容(おすすめの転職サイトや婚活サイト等)をご紹介します。

実例を見ることで、より理解を深めていただけると思います。

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