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飲み会にて。

ファジーネーブルを好きになったきっかけは、彼との居酒屋デートだった。

私は職場の飲み会は、実は半分くらい断っている。
理由としては、海鮮が苦手なこと、ビールが飲めないこと。あと、単純に行きたくないから。
店の感じや、人選により、行くか行かないか決めることが多い。

この日は同じ部署の人たちで、お店も私の好きな甘いお酒が多く、お肉が美味しそうなところだったので参加することにした。
全員が揃い、私は足をたたむか伸ばすか悩みつつ結局曖昧に伸ばして、周りの人の話に相槌をうちながら、料理が来るのを内心ワクワクして待っていた。

けれど、注文した1杯目の飲み物がテーブルに置かれたとき。その黄色いカクテルの水面が揺らめいて、ほんの一瞬、私の意識は過去へ引っ張られた。

社会人になってからは初めての恋人。
好きな人とお酒を飲むのは、こんなに楽しいんだって。
それに気づかせてくれたのも彼だったな。

飲み会も少しずつ場が暖まってきて、話は結婚生活の話題に移っていく。
私以外の参加者は、子供の有無こそあるがもれなく皆結婚しているため、私は必然的に聞き役になる。
相手のことをただの同居人であると言う人もいれば、なんで自分と結婚してくれたのか不思議に思う人、なんだかんだ尻に敷かれている人もいて。
いろいろで、聞いているだけで面白かった。
でも皆、なんだかんだ感謝しているようで、盛大な惚気を聞かされている気分だった。笑

相手との出会いの話になると、結婚していない私にも会話が回ってくるようになる。
「全然出会いがないんですよね~」
私はしみじみと言った。
職場内恋愛・結婚が多い職種だけれど、周りの素敵な人たちはすでに相手がいたり、年が離れていたりしてなかなかそういう目で見ることにならない。
だからこそ、アプリをやって元彼と付き合っていたわけだが。

「今の子たちって、マッチングアプリが多いみたいだよね」
「メッセージでやり取りして、会ってって、効率良いですよね」
「俺も結婚してなくて若い頃だったらやってたなぁ」
内心ドキリとしたけれど、職場の人たちはアプリに肯定的なようで少し安心した。
羽忘さんもやってる?と聞かれたが、ノーコメントで、とだけ返事をしておいた。

結婚してもしなくてもいいけれど、子供は素晴らしい。
ということに、結局は話が落ち着いた。

帰りのタクシーで一緒になった先輩たちに、それで結局のところどうなんですか?と聞かれた(羽忘の恋愛事情について)(ハラスメントではない)(何故なら羽忘がそう感じていないから←だいじ!)。

「居たけど、終わりました」
あっけらかんと言ったら、なんだかスッキリした。
「今日は皆さんの恋バナが聞けて楽しかったです」
「恋バナかな?そんなにきれいじゃなかったような気もするけど」
「ドロドロですか笑」
そんな話をしながら、帰路につく。

先輩たちの話を聞いていると、羨ましいな。
愛し愛され、共に生活している。
次第に相手への気持ちは別の形に変わっていくとしても、そこにはまた違う形の愛が、たしかにあるんだと思う。

いいなぁ。
私も結婚したい。
子供だってほしいよ。
愛に満ちた生活を送りたい。
いつか、大好きなひとと。

とある金曜日の夜のはなしでした。

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