まちがいさがし
久しぶりにサイゼリヤに来た。
あの人とも何回も来た店だ。
注文をして料理を待つあいだ、二つ折りの間違い探しをテーブルに広げてぼーっと見ていた。
無意識に対面の席に目をやるけれど、当然ながらそこに座る人はいない。
どうしよう。
ほんの少しだけ、寂しい、かもしれない。
間違い探しは私のほうが得意だった。
でも、私の気づかないところをあの人は見つけて、得意気に教えてくれた。
楽しかったな。
今回も9個目までは、わりとすぐに見つけることができた。
それなのに最後のひとつが、いつまでもいつまでも見つからない。
あの人がいれば、もしかしたら10個目を見つけられたのかななんて、思うけれど。
私はもう、元の関係に戻りたいとは思っていない。
戻る気持ちはさらさらない。
本当に私は、どこから間違えていたのだろうか。
彼と出会ったこと?彼と付き合ったこと?
あの時ああ言ったこと?
それとも、それとも。
彼を好きになったこと?
間違い探しの絵が新しくなったことも、今となってはもう伝えることもできない。
けれども、だからといってどうということはない。
もう、私と彼は関係ない他人だ。
まちがいだらけだ。人生なんて。
見つからないほどちっぽけな答えなんて、探さなくても案外どうにでもなるはずだ。
そんな諦めと、この先見つかるかもしれない期待で、私は今日も生きていく。