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ある日の病棟と認知症と時々せん妄
みなさん、こんばんは。
アルツハイマー型認知症に関してですが、様々な疾患としっかり鑑別したうえでかかわることが重要なのですが紛らわしい疾患もやはり多いです。
今回はよくある間違われる疾患についての実体験からの紹介です。
事例紹介
仕事をはじめて2,3年が過ぎたころだったと思います。
ある日の連休明けの日勤に出勤し、申し送りを受けていると
「このAさんですが、認知症があり、夕方からつじつまが合わず、消灯前には興奮がひどかったので寝てもらうために薬を定期処方を使い、22時に寝なかったので定期に加えて不眠時の内服も飲んでもらってます。朝は眠気が強いのかまだ起きてません。朝ごはんはもう時間過ぎたので下膳してます」
連休明け特有の勘の鈍さが出てしまっており、申し送りを聞いてもあまりピンと来ていませんでした。
また、簡単にしか情報を前もって持っていなかったこともありましたが、実際に見に行かなくては何とも言えないと考えていました。
その日は緊急入院が仕事開始直後に来てしまいバタバタと走り回りながら時間が過ぎていきました。
午前中は巡視し、各必要な方への清潔ケアを行い、昼食前に食事摂取への準備を行い午前中が終わってしまいました。
昼食をAさんに配膳したところ、一言でいえば「動かない患者」という印象でした。申し送りではやや活動的な印象だったので印象が違うなと思いました。
午後からもあれやこれやと業務を片付ける中で、15時頃だったと思います、Aさんからナースコールがありました。
「これは何や。」揺れるカーテンを見ながら不思議そうにAさんが話します。
あーこれはきっとせん妄か?と思いながら「これはカーテンですね。何に見えますか?」と聞き返すと
「なんでや! 何がおかしいんな! 早く市役所にいかなあかんのや、ここはどこな!」と興奮気味に矢継ぎ早に話されます。いままでうとうとしていたAさんとは思えず、気圧されてしまい、困惑しているうちに次の勤務者に申し送ったことを覚えています。
結局その晩は眠らず、一晩中興奮し、鎮静の薬剤を使用され朝方に入眠。その後何日か同様の行動を繰り返し、生活リズムも崩れてしまい昼夜逆転傾向になっていきました。
振り返ってみると・・・
ひとことで言えば「せん妄」だったんだと思います。
当時の自分でも気づけていたかもしれませんが、対応としては0点です。
どうすれば良かったのか?
・認知症とせん妄の鑑別をしっかりと行う必要があった
・せん妄としての対応を行うべきだった。
・アセスメント(情報を整理して、判断・評価・推測・予測をつけること)が浅い。
・申し送りで興奮気味だったと印象が違うのであればチームで共有すべきだった。
こまかく言えば出し尽くせませんが・・・。
今だから言いたいこと
今なら迷わずせん妄との鑑別を伝えるでしょう。
認知症と違い、せん妄は「身体状況の悪化」が大きな引き金になっていることが多いです。何かしらのストレスが限界値を超えてしまうと結果としてせん妄に至ってしまうことが多いからです。
なので、身体面での安定はどこまで進んでいるのか、現状の身体状態から予測される自覚症状はどうか、加えて今後どういう経過をたどっていくのかを予測して先回りして行動していきます。
そして、嬉しいことにせん妄は症状がいずれ消失します。
症状と、対象患者によりけりですが1~2週間程度で症状が消失することが多いです。ただし、一度の入院期間で2回せん妄になることもあるので注意が必要です。
急激な「認知症の症状が今日は出てきた?」といった症状には、認知症ではなくせん妄が原因である可能性が高いです。
どちらにせよ診察してもらえると、せん妄の原因になりかねない身体症状の悪化が早期発見できるか、認知症だとわかれば早期にかかわりが開始できるので是非おかしいと思ったときは診察をお勧めします。
さて、有料noteになるのですが、少しだけ紹介をさせてください。
アルツハイマー型認知症の早期発見を行うための情報を詰め込みました。
また、免許の返納についても一緒に入れています。
是非ご興味あれば一度みていただければと思います。
また、時間指定の返金設定もありますので思ったよりも・・・と思われた方は迷わず返金してもらって大丈夫です。
よければ見ていただければと思います。