🍎偏差値45の教員。先生になる

「何で雨宮先生休んでるんですか。」
川谷が質問をしてきた。落合先生が
「体調が悪いみたいだ。」とだけ答えた。
「え、まだ休むんですか。」
「今のところわからないな。」
「授業止まってるけど、どうなるんですか。中間も近いのに。みんな言ってますよ。」
「雨宮先生が復活したら、授業をしてもらうさ。」
川谷は納得が言ってない様子だ。対して真面目に勉強をしてるわけではないのに白々しい奴だ。
隣に座っていた鈴木が
「クラスで、雨宮先生が休んでるの俺らのせいになってるんですよ。」
と言い出した。
「そうなの。何でそんな風になってるの。」
「いや、知りませんよ。でも、悪いことがあるといつも俺らのせいになるんっすよ。」
と言い、2人も頷いた。
「でも、先生達はそうは思ってないよ。」
「ああ、思ってない。雨宮先生からもそんなこと一言も言われてない。」
落合先生が否定したら、3人が安堵の様子だった。
「何か、雨宮先生、川谷のこと問題児というか、子供扱いするんすよ。いつも。」
そう言ったのは、山名だった。
「そうなのか、川谷。」
落合先生が間に入った。
「そうなんすよ。もうわ休みたいのは俺らです。」
と川谷が言った。口元がニヤついている。被害者ぶりたいのだろうが、とことん嘘つくことに向いてないみたいだ。
「どんなふうに子供扱いするんだよ。」
落合先生が言う。
「なんか、提出物がある日とか、みんなに言った後に俺だけに言うんです。」
「それは、いつも忘れ物してるからだろ。」
「いや、他にもあるんですよ。何か俺らにたいしてだけ、言葉遣いが赤ちゃんに使うみたいになるんです。」
「例えば、どういうふうにだ。〇〇しようね、みたいな。かな。」
「そんなんで、子供扱いになるなら先生達、お前らと話せなくなるな。」
と落合先生が言った。これ以上言えなくなり、3人は静かになった。
「雨宮先生も先生と言えど人間だから。そんな扱いされたら、君たちのために仕事するの嫌になるよ。」
「教師なのにそれで良いんですか。」
山名がすぐに反論した。
「教師の仕事だけしてればよかったら、部活動も学級通信も無くなるけど良いの。」
と聞いてみたら下を向いた。
「雨宮先生、色々みんなのために掲示物作ったりしてくれてるでしょ。」
3人ともすっかり大人しくなった。
「雨宮先生の頑張りもわかってあげてさ、戻った時に成長した姿を見せてあげてよ。文句ばかり言っていたら、雨宮先生も嫌になるよ。」
と言ったら、川谷が
「まぁ、そうっすね。」と一言だけ言った。しばらく沈黙が続き、落合先生が
「じゃあ、今日のところはここまで。明日も元気に登校しろよ。」
とだけ言った。
3人は
「ありがとうございました。」
と言い部屋から出ていった。