醜い化物を許せない
みんなが優しいから、その優しさに甘えて欲深くぶくぶくと太って、醜い塊になってきている気がする。
「いつでも電話をしていいからね」と言ってくれる妹をすぐに頼ってしまう。大事な時期なのに私に時間を使わせてしまうのは申し訳ないと思いながらも、電話をかけてしまう。「どうしたの」という優しい声を聞いて、胸がいっぱいいっぱいになって涙をぼろぼろこぼしながら、長話をしてしまう。
母もよく話を聞いて、こちらをおもんばかった意見をくれる。けれど相手の時間を割いて話を聞いてもらっているのに、結局不安だから同じ言葉を繰り返してしまう。それで相手が少し雑な素振りを見せた(と感じてしまった)ら、蔑ろにされていると思ってしまう。面倒くさいし、わがままで幼稚だ。
心を病んだことのある父は、心に余裕が無くなって薬を飲むものだから、性格が悪くなってしまうのもしょうがないと言ってくれた。でもやはり悲しい。自分を許せない。プライドが高いのだろうか。だとしたらそんな自分も嫌になる。
みんな「甘えていいんだよ」と言ってくれる。「悪い子になんてなってないよ」と言ってくれる。優しい。みんなが大好きだ。だからこそ迷惑をかけてしまって申し訳ないと思う。甘えないで独りで抱え込む方が、みんなにとって良くないことだと理解しているから、頼ってみてはいる。けれど甘える度に、自分がどんどん化物になっていっているのではないかと、そんな想像をしてしまう。けれどその想像は、みんなの言葉を全く信用していないことと同義であるから、やはり自分が嫌になる。
ぐるぐると出口の無い階段を登っては降り、登っては降りを繰り返している。いや、出口が無いのではない。自ら鎖で扉を雁字搦めにしている。早く扉を開けて、自分を心から許して優しく抱きしめてあげられるようになりたい。