ハワイだけじゃない!知られざる太平洋の魅力:フィジー・マーシャル・パラオの絶景、文化、産業
11月12日、松山東雲女子大学 1年生の科目である「地域社会学」において、ゲストスピーカーとしてマーシャル諸島海洋資源局(MIMRA)の野原稔和 さんをお迎えしました。
この授業の概要はシラバスをご覧ください。
講師は「政策科学」がご専門の山形先生です。
「政策科学」とは聞き慣れない学問かもしれませんが、
これは「課題の設定から評価に至るまでの一連の政策過程を研究し、社会問題を解決するためのより良い政策を提言することを目的とした学問」だそうです。
さて、今回のゲストスピーカーである野原さんは、駐日パラオ大使館員としてお仕事をされたのちに、在フィジー日本大使館専門調査員としてフィジーに駐在、現在はマーシャル諸島の海洋資源局に在籍されています。
そして、山形先生とは大学院時代の同級生なんだそうです。
パラオ、フィジー、マーシャル・・・どこ?
となる方も多いかと思います。
パラオとマーシャルは、第一次世界大戦後、国際連盟の委任統治領として日本の管理下に置かれたため、今も日本文化が影響が残っているそうです。
地図で見ると、小さいですね!
パラオの国土面積は488 km²
フィジーは18,270 km²
マーシャル180 km²
野原さんによると、パラオは屋久島、フィジーは四国、マーシャルは霞ケ浦とほぼ同じだそうです。フィジーが四国くらいというのは、すごくイメージしやすいですね!
ちなみに日本は約377,976km²なので、3国とも国としては本当に小さいということがわかります。
この3国について、経済や生活、言語など、様々な点から比較し、解説していただきました。
興味深い話をたくさんしていただいたのですが、私が印象に残ったパラオとマーシャル諸島の経済についてご紹介します。
まず、パラオの観光です。
パラオは観光業が主な主要産業です。
パラオの観光は「High End Tourism」です。
ハイクラスの顧客層をターゲットにしています。
綺麗な自然を守るために「手つかずの楽園環境料」を観光客から取り、このお金を使って、観光で増える環境への負担を減らし、自然を守る仕組みです。
また、観光費用を少し高めにして独自性のある体験を提供し、「特別な場所」としての価値を上げています。
この差別化で、少人数の観光客に絞りつつ、環境も経済も守る政策なんだそうです。
インバウンドの経済効果を歓迎する昨今ですが、オーバーツーリズムという問題もあります。バランスをとるうまい戦略ですね。
次にマーシャル諸島の漁業について。
マーシャル諸島は、漁業が主要産業で、特にマグロ漁業です。
「ナウル協定」で加盟国が漁業権を守りつつ公平に収益を得られる仕組みが整っています。
協定の一環で、漁業国の漁船が加盟国によって許可された日数だけ操業できる「隻日数制度」(VDS)があり、乱獲を防ぎつつ漁業資源を守ることができます。「隻日数制度」はマーシャルの大きな収入源ともなっています。
近年は新しい事業も展開しているそうです。
マーシャル諸島は、Marine Stewardship Council(MSC)認証を受けたマグロ類をアメリカの大手スーパー ウォルマート社に提供する契約を締結しました。
MSC認証というのは、マグロ資源が適切に管理された持続可能な漁業であるという証。つまり乱獲されたものではありませんということなのだそうです。初めて知りました。
マグロは ウォルマートで販売されているツナ缶の原料となります。この事業は順調に進んでおり、高い経済効果を生み出しているとのこと。
特に印象に残った2点について書きましたが、フィジーについても少し。
フィジーで有名なのは何といってもラグビーですね!2021年の東京オリンピックで優勝しています。
経済としては観光業と砂糖産業が大きな収入源とのことでした。
授業を締めくくるにあたって、山形先生からは、
「四国と同じくらい、もしくはそれよりも小さな国土面積しかなく、愛媛よりも人口が少ない島嶼国が、大国と外交を行い、経済を成り立たせている。愛媛も学ぶべき点があるのではないか」というお話をされました。
野原さんは、「太平洋のことをもっと知ってほしい。ハワイやグアム以外にも素敵な島々がある。将来行けたらいいなと思ってもらえたら嬉しい」とおっしゃっていました。
学生からは、「実際に関わっている方に直接お話を聞くことができ、とても良かった。愛媛に参考になることを探してみたい」と感想がありました。
野原さん、楽しいお話をありがとうございました。