斎藤知事、失職から再選挙へ挑む背景を心理学的に分析
兵庫県の斎藤知事が失職し、再度知事選に臨む意向を固めたニュースが注目されています。
彼の失敗に対する心理学的解説は過去に解説しておりますので、こちらをご覧ください。
通常、不信任案が可決された場合、知事には議会を解散するか、自ら辞職するかの選択肢があります。今回、斎藤知事は議会解散を選ばず、自らの失職を決断しました。その背景にはどのような心理が働いていたのでしょうか?以下では、彼の選択を心理学的な観点から解説します。
参考にした本
議会解散か失職か?—意思決定のプロセス
まず、議会における不信任案が可決されると、首長は二つの道を選ぶことができます。一つは議会を解散して民意を問うこと、もう一つは自ら辞職し、再選挙に挑むことです。議会解散を選んだ場合、解散後に再結成されても、再度不信任案が可決されれば知事は最終的に失職するリスクが残ります。
そのため、斎藤知事は「自分でタイミングをコントロールできる失職」という選択をしたと考えられます。この意思決定には、いくつかの心理的な要因が影響していると考えられます。
損失回避とリスク管理
損失回避(Loss Aversion)は、人間が損失を避けることに強く動機づけられる心理的な傾向です。多くの研究で示されているように、人は利益を得ることよりも損失を回避することに強く反応します。斎藤知事も、議会解散を選んだ場合の不確実な未来より、自分のタイミングでの失職を選ぶ方がリスクをコントロールしやすいと感じた可能性があります。
議会が再結成され、再度不信任決議が可決されるリスクを避けるため、最初から自ら辞職し、出直し選挙で再び民意を問うという戦略を取ったのは、損失を避けるための合理的な選択と言えるでしょう。
プロスペクト理論に基づく判断
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