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反省させる仕事

長嶺超輝さんの「裁判官の爆笑お言葉集」を読みました。
2006年に出版された本で、裁判傍聴や当時起きた事件の裁判記録をもとに、裁判官が判決を述べた後に、被告人や当事者に述べる「説諭」を中心に、その発言内容をまとめたものです。

刑事裁判では、被告人に反省をさせ、悔い改めるように「説き諭す」、そんな様子を描いていたのが印象的でした。

古本屋で見かけた時にタイトルに釣られて買ったようなものです。

働いてると、「こいつ変わってるなぁ〜」と相手に思ってしまうことがよくあります。皆さんはどうでしょうか。
「そんな言い方わざわざしなくてもいいじゃん」とか「何その考え方、怖っ」など、大小問わずけっこう思ってしまいます。
自分が築いてきた常識と、他人の常識は全く違うものなので、きっと自分も周りから見れば「こいつわけわからんこと言ってるな〜…」と思われてるのかもしれません。

裁判官に対してまで、「この人変わってるわ〜」と思うとは思いませんでしたね。
裁判官はその「良心」に基づいて判決を下すよう法律で規定されています。
いわば、この「良心」が変わってるわ〜、って感じなのです。

「タクシー乗務員にはギャンブルで借金抱えた者がまま見受けられる」なんて職業差別説諭
「産業廃棄物以下」などとただ被告人を罵る説諭

なんかすごいですよね。最近一線に続きニ線目を退いた張本勲氏でも言わなさそうな説諭…

ただその一方で、

槇原敬之の覚醒剤取締法違反の裁判で、あなたの更正は社会に期待されてるって言ったり。
老老介護に疲れ、一家心中に失敗し妻を殺めてしまった男性に、奥さんはあなたが早く来るのを望んではいない。償ってほしい。と言ったり。

相手の気持ちに寄り添いながらも、罪を償うことを説く、ちゃんとした(?)説諭もありました。

結局は前者後者とも、「どのように被告人に反省を促すか。考えを変えてあげられるか」に神経を使った結果ではあると思うのです。あくまで私見ですが。

本に挙げられてる事件は裁判官の個性的なリアクションを誘うほどには変わった事件が多く、残忍すぎる事件もあれば、同情というか、被告人を責める気持ちになれないような事件もありました。

これらを全部捌く、もとい、裁く裁判官っていう仕事の大変さに触れることのできた読書体験だった。

ただその一方で、判決をした裁判の3日後に自殺した裁判官もいたっていう記述も。良心に苦悩する最期…。

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