「マチネの終わりに」を構造化してみた
「マチネの終わりに」(平野啓一郎著)を構造化してみようと、ふと思い立ってやってみた。
平野さんの文章は前から好きだったのだけれど、ストーリーの運び方もやはり上手いなぁと改めて思ってしまった。そこで、そのストーリーの組み立て方を少しでも学んでみたなぁと思い、試しに構造化してみた。
1.出会い
主人公である2人(クラシックギタリスト・蒔野聡史と国際ジャーナリスト・小峰洋子)の出会い。会食のシーン。
2.挑戦と活躍
2人はそれぞれの道で挑戦をし、活躍の場を広げる。蒔野は新しい曲に挑戦し、小峰はイラクに旅立つ。
3.受難と葛藤
蒔野はギターが弾けなくなり、小峰はテロに遭遇する。その間、お互いの文通は続き、思いは募る。そして、2人の関係を、イラクから逃れてきたジャリーラが媒介する。
4.すれ違いと変化
蒔野と小峰はお互いに出会えそうで、なかなか出会うことができない。その間、蒔野を以前から慕っていた早苗と、小峰のフィアンセであるリチャードがお互いの関係に介入する。すれ違いから、お互いの心情も変化していく。
5.再会
蒔野と小峰はそれぞれ結婚し、子供も持った上で再会する。
といった形だろうか。
本書をこのような形で簡単に分解してしまうと怒られそうだが、こうしたストーリーの軸は、いわゆる神話モデルにも沿った形になっている。(例:スターウォーズ等)
ただ、本書を魅力的なものにしているのは、こうしたストーリー展開だけでなく、話の端々に登場するクラシック音楽についての話題、映画や文学についての話題など、知的好奇心を思わずくすぐられてしまうところにもある。中年男女の恋愛小説といってしまえばそれまでかもしれないが、そういう形で紹介してしまうには少しもったいないような気もする。
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