![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/47953790/rectangle_large_type_2_3646dccedf8f9d97db2dba177bb5c80f.png?width=1200)
Photo by
clemandhiro
思考することは無秩序に抗うこと
生命科学的思考(高橋祥子 著 News Picks社)を読んだ。
本書では、何故生命は死ぬのか、感情はどうして生まれるのか、情熱はどのようにして生まれるのか、どうすれば主体的に生きることができるのか、といった哲学的な問いに対して、生命科学的な見地から捉え直し、その答えのヒントを提示している。
内容は本質的で深いものだが、文章はとても分かり易く、すらすらと読むことができた。
本書を貫く中核的なメッセージは、
「生命原則を客観的に理解した上で、主観的に生きる」
ご自身が生命科学に関わる起業家として生きられているからこそ、「主観的」に生きるとはどういうことなのか、ということを恐らく徹底的に考え抜かれたのだと思う。
特に興味深かったのは、生命をはじめ世の中の物理現象というものは、全て
何もしないでいると無秩序の方向に向かう
という話だ。
スーパーで買ってきた肉も、放っておくとすぐに腐り始める。
我々人間は、それに対して、思考することで抗うことができる。
というのが高橋氏が本書で何度も訴えかけているメッセージだ。
生物学的には、思考するということはものすごくエネルギーを要する行為であるため、何もしないでいるということの方が効率的であるように見える。
しかし、何もしない、ということはエントロピーを増大させ、むしろ崩壊のスピードを速めてしまうのだそうだ。
思考するということは、この無秩序状態に抗うために、人間に与えられた貴重な財産であり、武器である。
とすれば、日々刻々と過ぎ去る時間の中で、いかに考えることができているか、動くことができているか、改めて見直してみる必要がありそうだ。
死に際になって、もう少し考えておけばよかった、と後悔したくないから。
いいなと思ったら応援しよう!
![キダッチ](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/38962125/profile_395e3d90bffffd742b4ab93ec3722fa0.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)