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息子の姓を変えたくない人と、どう闘えば良いの

私は自他共に認める「自己主張がハッキリしていて」「嫌なことは極力しない忍道」を持っている人間です。

そしてここ最近、私と彼氏の間で上がる議題といえば、改姓に関すること。
私は元彼と付き合っていた頃こそ「この人と結婚したい♡」とメンがヘラって半分溶けた脳みそで夢を見ていた若かりし頃があるのですが、別れを経験して一回り大人になった頃にはそんな思想も消え失せていました。
しかしながら、次に付き合った人、つまり今の彼氏は結婚したい人でした。彼は中学生の頃には結婚して家庭を持つことが夢の素敵な男の子で(夢があるってステキ。私の中学生の頃の夢は、漫画の編集者でした)、私があまりにも魅力的なために付き合って3週間くらいでしょうか、まだ24歳同士にも関わらず「今後、結婚を視野に入れてお付き合いをしたい」と改めて告白してきたのです。

そのとき自分がなんて返答したのか、正直はっきりとは覚えていません。彼氏のことは大好きで、まぁシンプルに言うと顔が綺麗で好みで、背も高くて、スリムなのにお尻がぷりッと大きくて、身近で浦沢直樹の「MONSTER」を読んだことがある唯一人のパートナーだから気のいい返事をした気がする。「そうなんだ〜!うんうん、いいね!」みたいなこと言ったかも。

付き合って半年で同棲を開始し、そこからまた結婚の話をマジトーンでされたときに私はふと聞いた。「名字、どうする?」と。
私は大人になってしまった時に日本の婚姻制度に疑問を持ってしまったし、名字を変えたくないと主張しました。彼はビックリしていました。想定外だったようです。彼の周りには妻の姓を名乗っている人がおらず、また「名字を変えたくない女性」にも初めて遭遇したのでしょう。

彼氏とは長い時間をかけて改姓に関する議論をし、「婚姻届を出したい(※事実婚を彼が拒否したため)俺が名字を変えるが自然」と思った彼はついに親へ聞いてくれました。俺が結婚して名字を変えるのはどう?と。LINEで聞いてくれたんですね。それに対する彼パパの返答は、


ないわ

彼パパからのLINEより。原文。


ひと言。
これのみ返ってきました。
そしてしばらくすると、彼パパから事情を聞いた彼ママからお気持ち表明長文LINEが来ました。要約すると、


あなたは一人息子なので、名字を変えるのはあり得ない。
誰が〇〇の名字を継ぐの?
おじいちゃんもあなたが生まれたときに男の子だから、すごく喜んでくれたの。今は男女平等の時代かもしれないけど、それでもまだ男の子が名字を変えるのは少数でしょう?もし、万が一、離婚ってなった時も、男が名字をもとに戻すことで社会的にも不利になるかもしれない。
名字に関することは、検討する余地もないわ。

彼ママからのLINEより。原文ではない。



彼はこれに対して、私が主張で発した言葉を少し借りながら反論してくれました。でも、例えばこれってA×Bのカップリングが好きな腐女子に公式カプはA×Cだと論破しようとする無意味さと似ていて、要はほぼ無理。実際に、彼ママに彼の主張は少しも響かなかったでしょう。


ちなみにこの時点で私は彼両親に会ったことありません。同棲前に会う話題は出ていたけど、コロナのせいで断念していました。なお、私の両親は都内に住んでいることもあり彼氏は頻繁に私の親には会っているし実家にも泊まる仲。

そして2022年GW、ついに彼氏親に対面したときは拍子抜けしました。

すっっっごく良い人たちだった。

予め彼氏が念を押していたわけではないそうですが、彼親からしたら私は地雷思想を持つ女なのに、食事の席でも場が険悪になる話題は一切出さず素敵なおもてなしをしてくれました。

偉大なる漫画家、峰なゆか先生は「結婚したら、名字は女が変えるのが普通…じゃねぇよ!」というタイトルで峰先生の名字にすると告白する息子に大激怒する義父を描いています。

もちろん漫画なので多少の誇張表現はあるかもしれませんが、これぐらい「明らかな女性蔑視」で「毒親発言」をかます、わかりやす〜い悪者であるなら「こんなやつと議論する必要ねーな!!!」とスッパリ諦めがついて適度に距離を置くかガッツリ絶縁することができます。漫画内でも、峰先生夫妻は「義父と実質絶縁」することで問題を解決しています。

峰先生さいこ〜だぜ


じゃあ、わかりやすい悪者じゃない相手には、私達はどう闘えば良いんでしょう。
つい先日、まだ婚姻届も出していない状態で、体裁的には「結婚する私達のために」両家の顔合わせを兼ねた夕食会を開きました。

私の両親と彼両親は生まれ育ちこそ飛行機の距離で違うものの、同年代なのもあって話が弾み、文字通り両家の親睦を深められた楽しい会でした。
でもやっぱりここでも一貫していたのが、彼親は「名字に関することは何も言わない」スタンスを終始崩さなかったこと。
結婚指輪のお披露目をしたときも、彼ママが私に「ご結婚おめでとうございます」と花束をくれたときも(まだ婚姻届出していないのに・・・)、婚姻届を出す時期についてうちの親がサラッと話題に出したときも彼親はニコニコと私達の返事を待つだけだった。


あぁ〜〜〜〜これは・・・・・これは難しいなぁって、すごい思った。

私の親は、私が名字を変えても悲しまない。
彼の親は、息子が名字を変えたら悲しむ。

これは日本の婚姻制度と歪な社会風習によるもので私に一切の非はなく、普段の私であれば何よりも自分の主張・自分がしたくないことはやらない忍道を貫くので、「そもそも結婚って、当事者二人が決めることで、親に許可をいただく必要ってないんですよね。あなた達の悲しみを僕が対処するのって、違いますし、なんていうかなぁ、ご自愛くださいとしか言いようがないんですよ。 そもそも、〇〇の姓を後世に残したいのであれば養子をもらうなりなんなりして、ご自分で努力されるべきですよね?子供とはいえ他人に託せちゃう時点で、その程度ってことなんじゃないんスかね〜〜〜」と早口のひろゆき口調で言う。
彼パパだけが反対しているのであれば、私はまだ闘う気が残っていた。うるせーなミソジニーの老害野郎、お前みたいな男がいるから日本はジェンダーギャップが先進国でも最悪なんだバーカバーカって言う。

でも同じ女性であり、名字を夫姓にした彼ママが凄く反対しているのを知って、私とは真逆の思想を持っているのにそんな素振りを一切見せない彼ママと闘う気が、今もうゼロに近い。(完全にゼロではないのは、彼氏が応援してくれているから。)
これは、私が結構なマザコンで、ママを信仰している節があるからなのも大きい。ママという存在に歯向かっても、いいことは何一つないし、ママの言うことはうんうんって聞いておいて可愛がられておくことのほうが何十倍も得をすると私の人生経験がそう物語っているからだ。


彼氏と改姓の議論をしていた最初の頃、彼が「みんなとなるべく同じが良い。96%の男が変えていないから、自分もできれば変えたくない。」と言っていました。日本では婚姻届を出すときに、役所の人から男性姓に強制されることもない。婚姻届にはちゃんと「妻の姓」というチェックボックスがある。
だから私は96%:4%という割合を作り上げた既婚者を恨んだことがあります。こーゆーのはひとりひとりの積み重ねが大事なんだからね?わかってる?と詰めたくなった。

世界で最も悪い円グラフのひとつ

今ならわかる。4%の夫婦、マジですごい。
パートナーと話し合いができて、尚かつお互いの両親とも話が通じる。これを乗り越えられた夫婦なんだって身を持って実感する。こんな低い数字になるのもわかってしまった。

96%の夫婦の中でも、夫婦間では夫が姓を変えようか。ってなった人たちも結構いると思うんです。私の親世代ですら、妻姓の人を知っていますし、私の1番身近な例ではおばあちゃんの妹3人は既婚者でも名字を変えていません。(とはいえこれは完全に経済的な理由ですが)

その中でも、親とぶつかって諦めた人が沢山いたんだなって気づきました。また大人になりました。私みたいに、直接ぶつかる前に衝突する気力を削がれた人も、たくさんたくさんいたでしょう。だって面倒くさいんだもん、平和が一番だし、外国人みたいに「paperworkがダリィから、そもそも婚姻届出すのやめるわ」みたいなロックなこともできないし(私はできるけど、これは彼の思想に反する)向こうの親も全然良い人なんだもん。


このnoteはタイムリーに改姓で悩んでいる私が、「改姓のこと」という篠原さんのnoteを読んで書こうと思いました。篠原さんの旦那様のご両親は、どんな反応をしたのか、記事には一切書かれていません。

女性の姓にした男性、名字を変えなかった女性、親と衝突したときにどうしましたか?できれば教えてください。あ、法に触れていない方法でしたら教えてください。結婚という時代錯誤甚だしい制度に夢見ている彼氏のために自分の手を汚すのは御免です。



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