【ヨッソー】演劇初心者の耐えられない重さ 最終稿「羽 and youthful days」
感謝しかない
百万石演劇大合戦の打ち上げの時にHさんから「ヨッソーでてくれてありがとうね。」と言われた。たしかにちょっと前までの僕なら断っていたかもしれない。でも内心仕事柄土日祝日の昼間は仕事があって公演に出れない自分がとてもワガママなお願いをしていることに申し訳無さを感じていた。ふーみんとWキャストで穴埋めをして頂いたことに後ろめたさを感じていた。一緒にシーンをやる人にも迷惑をかけるだろうなぁと思っていた。だから「ありがとうね。」と言われた時には「イヤイヤこんな面倒臭い俺を出させてくれてホントありがとう。」と心の中で思っていた。そんなことは言えず「いや、大丈夫ですよ。」くらいしか言えなかったけれど。感謝の気持ちしかなくそれ以上でもそれ以下でもない。貴重な体験をさせて頂いてどうもありがとうございました。
にっちもさっちもいかない状態
キャストが決まり、脚本が仕上がってくると稽古が始まります。僕なシーン1で親戚のおじさん役をシーン6でステーキ屋の店主の役をやる事になりました。しかし何回稽古をやっても納得できる演技はできませんでした。段々とこれでいいのか、自分で大丈夫なのか?と不安になっていきました。僕はこの状態が一番怖いんです。にっちもさっちもいかない状態が嫌なんです。けれどある曲が僕の背中を押してくれたんです。
稲葉様降臨
僕は音楽が好きでTVで好きなミュージシャンが出ているとチェックしています。tiny desk concerts in japanという番組に【レジェンド:稲葉浩志降臨】とあります。レジェンドなんですよ!!9月30日TVを付けてなんとなく稲葉様の歌唱を聞いておりました。最後の曲の歌詞に「代わりは誰にもやらすな!!」というのがあり、その歌詞が僕のやわな心に突き刺さりました。もうふーみんには脇でいてもらう!!俺の代わりは誰にもできない、イヤ、やらせない、オレがやらなきゃ誰がやるんだ?完全にやる気にスイッチが入り、心に火が灯ったのです。
浅倉南パイセンとゼルダ姫合流
とはいうものの、声が小さかったり、セリフを噛んだり、テンポが悪かったりでいい芝居ができなくて、ダメダメなボク。そんな自分に嫌気が刺していました。シーン1の僕の相手役には「ハローワンダー」というこれまたレジェンド演劇チームの女優さんが決まりました。浅倉南パイセンです。もう芝居が上手くて最初に合わせた時なんか、もう迫力に負けそうでした。ですが、おじさんここで気圧されてちゃ話にならんのでなんとか気合ではね返しました。•••そのつもりです。またゼルダ姫も芝居が上手。僕みたいな大根役者が通用するのだろうか不安になりました。
最初からやれよ
とはいえ僕には固い契りがございました。前回のNiiRUではない時に出演した演劇がありましてその時に僕がキャストをやる事に渋って、迷って途中から参加するという中途半端な関わりをしたのでございます。そうしたらその時演劇が終わった後にある方から「最初からやれよー。」と言われまして。
そういうことがあったので、これからは積極的に何でもやろう。多少の不安があったとしても最初から最後までやり抜こう。そういう力が自分にはあるはずと言い聞かせていました。多少の困難な壁に道を阻まれてもそれを乗り越えなければならない。そういうマインドで今回の演劇に向き合っていたのです。
おちつけ、たのしめ。
とはいえ、肩に力の入ったまま演技をしていても楽しいわけもなく、自己採点で合格点までいかないままゲネプロの日がやってまいりました。ゲネプロはマジでキツかった。僕らのグループは3組出ていて宮さん、あざつねさん、僕たちNiiRUの順番でゲネをやっていくのですが、出番まで自由なので先の2組の見学をしたんですが、いやぁーレベルが高い。あざつねさんなんかもう面白くて笑っちゃいました。こんなレベルの高い人達の後に僕たちが出るの?もういてもたってもいられなくて、客席から楽屋に逃げるように帰りました。もうその場にいられなくて。楽屋では演出のHさんから「光栄だよね。」と話しかけられましたが、僕は気持ちここにあらずな感じで、「え、ええ。」と適当に返すのが精一杯で、そんな誇らしい気持ちなど一切無く、只ビクビクと怯えた、そういう記憶しかありませんね。出番前、袖で待っている間、吐きそうになっていた事を覚えています。
youthful days
初日の公演を終え、僕は昼間仕事があったので、夕方芸術村に顔を出しました。出演者は無料で観劇できるのでもう一つのAグループの観劇をしました。いやぁー良かったですね。これぞ演劇というものを学ばせていただきました。fire worksさんの劇は特に良かった。テンポ感いいですね。それに比べて僕の演技といったらセリフが出てこないからもうテンポが悪い悪いw皆さんご迷惑をおかけいたしましてすいませんでした。
さていよいよ、11/3 19:00 自分の出番です。泣いても笑ってもそして私ヨッソーにとっては最初で最後の舞台。いやー楽しくて仕方なかった。この日は妙に落ち着いていた。前日に観劇をした疲れからかぐっすり眠れたのも良かったかもしれません。これまでグダグダ不安やら恐怖やらを書いてきましたが、実は楽しくて楽しくて。仕事を終えて夜稽古に行く車内の中で自分の演技を次こうしよう、ああしようとか考えるのが楽しかった。まるで小学校の時、学校が終わって友達の家に遊びに行くときのようなワクワク感が押し寄せてくるのです。35年ぶりぐらい?それくらい日々に生活に刺激を与えてくれた。演劇のセリフの中に「生きづらさって何ですか。」また「行きづらさとどう向き合っていますか。」に答えるシーンがあるんだけど、その時のままセリフにしました。自分はこの演劇が楽しいから「演劇やってみれば?最初は苦手だったけど、今は楽しいんだよ。」と。だってそうだったんだから。
本番前練習に付き合ってくれた浅倉南パイセンありがとう。君のおかげで緊張がほぐれたよ。今まで自分がしっかりしなきゃ、完璧にしなきゃと思っていたけど相手に身を委ねる心地良さを学ばせて頂きました。演劇は一人でやるものじゃない、お互い支え合ってやっていくものだと学びました。2人のシーンであれば2人で作り上げていくもの、本番前にそう気付かせてくれたのはあなたです。何回も練習するうちに早く舞台に出たい、早くお客さんの前でこのシーン1を演じさせてくれという気持ちにさせてくれました。本当にありがとう。
とにかく楽しくて仕方がなかった。こうして僕の演劇は僕的には大大大成功で幕を閉じたのであった。おしまい。
P.S.恐怖心はあった。けれど全くの暗闇というわけでは無く、自分には見えていたのだ、ハッキリとした一筋の光が、強く。また怯える自分を押さえつけるもう一人の自分が居たのも確かなことだ。