詩『ともしびボタン』
ボタン1つで 部屋の明かりをつける様に
人の心に 明かりを灯すことは 難しい
そんな都合のいいボタン 人は持ってなどいない
東から昇った太陽が ゆっくり私達を跨ぎ
ゆっくり 温もりと明るさを届けてくれる
西に沈む太陽と 私達は毎日確かな約束を交わす
また明日 また明日
きっと また逢えるのね
去っていく温もりと明るさを
裏切りの無い安堵を感じながら ここから見送る
それだけが 確かな灯
なのに あなたと出会ってから
私は 私の心にボタンがあるのを知ったのだ
あなたが鍵を開ける音
あなたが私を包む腕
あなたが私に微笑むと
あなたを愛する私の心に
ほんの一瞬で明かりが灯る
誰しもボタンは持っている
心にボタンを持っている
だけどボタンは一つだけ
誰が押しても 明かりが灯る訳じゃない
鍵穴にはまる鍵を探すように
私はきっと 探してたのね
私のボタンを探し当て
私の心に明かりを灯す
そんな あなたを 探していたのね
『ともしびボタン』完
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