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映画『ソニック×シャドウ TOKYO MISSION』感想

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 大人気シリーズの第三作目。これ以上の説明は特に必要ないかと。前作、前々作評にて「映画の感想というよりはゲームの感想文になってしまう~」などと述べた覚えがありますが、それは本項でも同様のこと笑。

 いやもう、仕方がないのです。前作で描かれた “ソニックのスーパー化”、そしてポストクレジットシーンにてお披露目されたシャドウ・ザ・ヘッジホッグの姿。しかも「『ソニックアドベンチャー2バトル』(以下:SA2)ベースの物語」みたいな触れ込みもあって……。

 前作の公開時、以上と似たような理由で胸に込み上げていたワクワクを「舌なめずり」と表現しましたが、前作での期待感を遥かに上回るワクワク感。「舌なめずり」の上位互換というか、一段階上の言葉って何でしょう? インフルエンザなどが流行していたみたいなのでマスクをして映画館に行ったのですが、向かう道中、および上映開始までの間、マスクで隠された僕の口角はずーっと上がりっぱなしでした。



 さて本題。そもそも一作目のティザーPV公開時、「ファンが納得しない」という理由でキャラデザインが変更された本シリーズのことですから、ファンの心理を意識した内容になっていたのは言わずもがな。ゲームユーザーが反応しそうな要素が各所に散りばめられています。

 既述の『SA2』ベースという触れ込み然り、前作でのポスクレシーンなども然り、当然予想はしていた、わかってはいたことだった、それでも、あの名曲のイントロがほんの少しだけ奏でられただけで形容しがたい感情がブワッと沸き起こるのを感じたのです。「おそらく終盤の一番盛り上がるシーンだろうな」と思い込んでいただけに、ギターの優しい音色で、そして一瞬だけだったとはいえ、始まって間もない序盤に流れてきたために、不意を突かれた気分になりました。

 いやホント、子供の頃に夢中になっていたものの熱量というのは恐ろしい。時を経て大人になっても、少し小突かれただけで当時の思い出や熱量が滝のように溢れ出てきてしまいます。



 一方、主にシャドウに関して「カオススピア」や「カオスコントロール」等々、ゲーム版最新作の要素も見受けられたのも印象的。『SA2』世代も、今の世代の子供たち・ゲームユーザーも楽しめる仕様になっていたのは良かったと思います。

 見やすさの点で言えば、相変わらずのジム・キャリーの頼もしさも見どころの一つかもしれません笑。本作ではソニックの宿敵・エッグマンだけではなく、その祖父であるプロフェッサー・ジェラルドも演じていたジム・キャリー。実は『SA2』でのプロフェッサーは痩せぎすで不気味な印象だったのですが、彼にかかればそんなおどろおどろしさなんて何のその。『SA2』とは打って変わって、みんな大好きジム・キャリー節炸裂のコメディチックなキャラクターに仕上がっています。前述のことも含め、こういった変化も観易さの一つなんじゃないかな。もちろん、劇場の子供たちには大ウケでした笑。


 そんな本作は、ドラマ部分の見せ方もわかりやすい。スピード感溢れるアクションシーンとは対照的に、“胸に手を当てる”、“星の光の話” など、登場人物の心情に作用し得るシーンはゆっくりと描かれています。後出のシーンでその動作や言葉が反復されたり、描かれずとも想起させられたりする瞬間がより活きてくる印象です。
 分かりやす過ぎる節もあったかもしれませんが、子供たちも楽しめるテイストの本作との相性が好いし、一作目から観ていなくても物語を楽しめる観易さにも繋がっていたんじゃないかな。


 とはいえ、一作目から観ていたからこその味わいも見どころの一つ。本シリーズの一作目では、ソニックの「他者とは違う」や「ひとりぼっち」といった孤独感が描かれていました(前作・前々作評の中でも述べた覚えがありますが、こういった点はゲーム版でのソニックの性分とは若干異なっていた印象でした)。

 しかしそこからトム(ジェームズ・マースデン)やテイルス、ナックルズと出逢い、バディや仲間(チーム)の大切さがシリーズを通して描かれてきました。

 そして本作にてヴィランとして対峙するシャドウは、境遇こそ大きく違えど、まるで仲間たちと出逢う前のソニック同様、喪失と孤独感を知る者でした。見た目や能力といったキャラ設定上の類似点+αの要素によって、ゲーム版とは一味違う魅力が上乗せされていた印象です。類似点が多いからこそ互いが鑑のような存在となり、相手の中に “自分自身” をも見出し得る。先述した “心情に作用し得る” 動作や言葉が、より一層際立っていたように思えます。

 こういったドラマ的な盛り上がりや見せ場から、本項冒頭で述べた「おそらく終盤の一番盛り上がる」と予想していたシーンに繋がり、そこに合わせてあの名曲!! 子供の頃は雰囲気だけで興奮していたけど、今はその歌詞も胸に染み渡ってくる。もうホントに、作り手の思うツボですよ、僕は。



 ほらやっぱり、ゲームの話ばっかりでした笑。でもそんな視点で観るのが一番楽しいと思います。まんまゲーム版のシナリオ通りではありませんが、だからこその魅力もたくさんある本シリーズ。その中で散りばめられたゲーム版の諸要素を楽しむのが面白い。

 そして本作もまた例に漏れず、期待感ブチ上げのポストクレジットシーンがあります。……わざわざこんなことを述べたのは、前作、前々作と同じように本作でもまた “エンドロールになった途端に帰っちゃうお客さん” が多かったから。「エンドロールを見る/見ない」は人それぞれですが、折角劇場まで観に来たなら、この “舌なめずり” 必至のラストを共有したいですよね。


【関連作感想文】
映画『ソニック・ザ・ムービー』感想|どいひー映画日記
映画『ソニック・ザ・ムービー/ソニックvsナックルズ』感想|どいひー映画日記


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