人間関係モノローグ【転がる石】
50代半ば、既婚、子供なし。そして、転職回数10回以上。自分で言うのもなんだが、なかなかの経歴だろう。安定とは程遠い、波乱万丈の人生だった。詳しいことは言えないが、いろいろな事情で転職を繰り返してきた。会社の倒産、人間関係のトラブル、キャリアアップへの野望、時には単なる好奇心。その度に、不安と期待を抱えながら、新しい職場へと飛び込んでいった。正直に言うと、楽な道のりではなかった。新しい環境に慣れる苦労、人間関係の構築、仕事のプレッシャー。その度に、心が折れそうになったこともあった。転職回数が多いことをマイナスに捉える人もいるだろう。「忍耐力がない」「飽きっぽい」「責任感がない」。そんな言葉を浴びせられたことも一度や二度ではない。確かに、私にも非がないわけではない。若気の至りで、軽率な行動をとってしまったこともあった。後悔していないと言えば嘘になる。後悔ばかりの人生を送ってきたわけでもない。転職する度に、新しい知識やスキルを身につけることができた。様々な業界、様々な職種を経験することで、視野が広がった。多くの人と出会い、貴重な経験を積むことができた。これらの経験は、私にとってかけがえのない財産だ。転職を繰り返す中で、自分自身と向き合うこともできた。自分の強みや弱み、本当にやりたいこと、そして、人生で大切にしたいこと。自分の人生を真剣に考えるようになった。妻の存在も大きかった。彼女は、どんな時も私を支え、励ましてくれた。転職する度に、不安を抱えている私を優しく包み込んでくれた。彼女がいなければ、私はここまでやってこられなかっただろう。もちろん、転職を繰り返すことで失ったものもある。安定した収入や社会的な地位、友人関係など。後悔はしていない。自分の人生を自分で選び、自分の足で歩いてきた。私にとっての誇りだ。50代半ばになった今、ようやく自分らしい生き方を見つけつつある。一つの会社に縛られることなく、自分のスキルや経験を活かして、社会に貢献していく生き方だ。フリーランスとして、多様なプロジェクトに参加したり、NPO活動に携わったり。年齢を重ねるごとに、新しい可能性が広がっているように感じる。不安がないわけではない。この先、どうなるか分からない。それでも、私は前向きに生きていきたい。転がる石のように、いろんな場所に身を置き、いろんな経験を積み重ねていきたい。いつか、自分の人生を振り返ったときに、「面白い人生だった」と心から思えるように。人生は一度きりだ。後悔のないように、自分らしく生きていきたい。