介護ってしんどい?

世間一般の「介護」のイメージって、あんまりよくないですよね。
今でも、親が認知症であることを近所に知られたくない・・・とか、
施設に預けるのって責任を放棄しているみたい・・・とか、
自分は介護なんて受けたくない・・・とか。
介護に直面する方には、いろんな思いがあると思います。
あと介護職の人に対しての風当たりって、なかなか辛いものがある・・・。私も経験があります。
ここ10年くらいは、介護施設での虐待事件なども問題になっていて、仕事ってどれも大変で必要であるもののはずなのに、どうしても「誰でもできる仕事でしょ」と言われがちな介護業界。
私の経験も踏まえて、介護を経験する方たちと思いを共有したい一心で書き連ねていきます。

学校教員の道から介護業界へ

みなさん小さい時の夢って覚えていますか??
私の記憶にある最初の将来の夢はお笑い芸人さんでした。笑
幼稚園の親友と、「コンビを組んで吉本に入る!!」
なんて、息巻いていたおてんば娘は、小学校に入って始めたサッカーの影響で、今度は「サッカー選手になる」だの、ドラマを見ては「医者になる」だの「検事になる」だの、好き放題言っていました。笑
そんな私が、中学校と高校でお世話になった担任の先生と国語担当の先生に憧れ、将来は「教師になる」と決意し、教育学部の道に進みました。

そんな中、大学2回生ぐらいの頃から、同居していた祖母が近くのデイサービスに通うようになりました。
それまで、すこぶる元気だった祖母が、姉との死別を境に、少しずつ物忘れをするようになっていっていたのです。
「ラジオどこいった?」「財布がない」と、繰り返す祖母。
そんな姿を傍目に、私は授業と部活とアルバイトに明け暮れ、気づけば大学4回生。
その間に祖母はアルツハイマー型認知症と診断を受け、徘徊行為なども増えていき、徐々に在宅で見守るのが難しくなってきていました。
祖母の生まれ故郷に近い、滋賀県の施設へ見学に行き、本人も納得のもと入所が決定。
今思えば、あれが私の転機だったのかもしれません。

2017年1月。内定も決まり、卒業論文の提出も済み、後は卒業を待つだけ。
私はふと、教員免許取得のために実習へ行ったデイサービスでの出来事を思い出しました。
何度も何度も、「家に帰るのは何時?」「小さい子が待ってるの」と不安げに話すおばあちゃん。
施設に入った自分の祖母と重なる部分があり、何かもっとできることがあったんじゃないだろうか・・・と。
このまま学校教員になったところで、自分は子どもたちに何を教えられるのか、と思い悩んだ結果、内定を蹴り(本当に申し訳ないことをしました・・・)、少しでも勉強をしたくて介護業界へ飛び込もうと一念発起。
まずもって介護のことを何も知らない私は、どういう施設があって、どういう働き方があるのかを、予備校で講師として働きながら調べ、9月に第二新卒として有料老人ホームを経営する会社に入社しました。
実は。
Re:bertasの相方さんとは、この面接の時に出会いました。笑
またこのお話は後ほど!
そういった経緯で、学校教員を目指していた私は一転、周囲に反対をされながらも介護の世界へと一歩を踏み出したわけです。

未経験の介護職

介護施設の求人広告などを見てみると、「未経験者歓迎!」「無資格者でも安心!」といった文言が多くみられますよね。
私も未経験、無資格の介護職からスタートしました。
右も左もわからない、「おむつって何?」「パットって何?」の次元から始まって、周りのベテラン職員さんや看護師さん達に聞きまくりました。

幸い、ある拠点のオープニングスタッフとして働くことになった為、オープン準備やまだご入居者様が少ないタイミングで、先輩たちの後をついて回りながら、いろいろな勉強をさせてもらいました。
フロアの誰かが居室に入ろうものなら、後からついていって「見せてください」とケアを見せてもらい、教えてもらい、今考えるとめちゃくちゃうざがられてたんじゃないかな・・・。笑

でも、これって未経験スタッフの特権。

今で介護を始めてちょうど5年。
まだまだ知らないことばかりで、勉強しなきゃいけないことはたくさんあるんですが、あの頃みたいに何でもかんでも聞きに回ることができる環境ではなくなりました。
教えてもらう立場から、徐々に教える立場になって。
あの頃に聞いておけばよかった!!なんて思うこともままあります。

未経験で入職してくるスタッフさんには、たくさんのことを気づかされることがあります。
介護経験が長くなってくればくるほど、普通の感覚ではちょっと変なことも「当たり前」になってきちゃうんですよね、怖いことに。
例えば「トイレに行きたい」と訴える方が居たとして、「さっき行きましたよ」とか「ちょっと待っててください」とか言っちゃう。
いや、自分が言われたらどうよ?
トイレ行きたい時は行きたいし、切羽詰まってる時に待てるわけないし。
正直、そうでもしないと仕事にならない。1対1でケアができるわけじゃなくて、言いたくないけどそうなってしまう状況は確かにあるのが現状ですが・・・。
こういうことに、「あれ?」って疑問をもって投げかけてくれて、介護者本位になっているところを正してくれる。未経験のスタッフさんには「そういう視点もあるのか!」って教えてもらう部分も多いです。

介護職って誰でもできるよね?

「介護職なんて誰でもできる」
「若いのにもったいない」

私が教員の道から介護の道へ方向転換して、耳にタコができるくらい言われて、正直、一番きらいな言葉です。
確かにこの5年間でこういう感覚をもって介護職に従事する方にも出会ってきましたし、実際そういう面があるのは事実だと思います。
でも、「誰でもできる介護」をしている人に、介護職って名乗らないでほしい。
決められた時間に決まった事をして、ある程度の経験と技術さえあれば、安くはあれど給料はもらえます。
でも、そこで終わるのって「介護」じゃない。と、私は思います。
教員を目指していた頃に、ある先生が『教員っていうのは、子どもたちの”生き方”を一緒に考えていく職業なんですよね』と言っていたのが印象的なのですが、介護職ってその反対にあって、「その人の人生の終わり方」を一緒に考えさせてもらう立場にあるのだと感じています。

介護職に就くと決めた時、「誰でもできる仕事」って言われて、少し落ち込んでいた22歳の頃。
違うよ、そうじゃないんだよ、と思っていても反論できる知識も材料もなく、親にさえ「やめなさい」と言われ、かなり悩んでいました。
ただ、友人にそのことを打ち明けた時に「どんな仕事でもあんたにしかできひん仕事にしたらええやん」と何気なく返され、決心がついて今に至ります。その友人には感謝しかない、本当に。

「私にしかできない介護」って何だろう?って思いながら、仕事をしてきて、その答えがRe:bertasになっていけばいいなぁと今は思っています。

介護って楽しい!

もちろん、仕事として介護をしていく上で、しんどいことはたくさんあります。
暴力のひどいおじいちゃん、嫌味を言ってくるおばあちゃん。
でもそこには必ず原因があって、理由がある。
それをみんなでひたすら考えて、あれやこれやとケアを試してみて、あーでもないこーでもない、成功する日もあれば失敗に終わる日もある。働いていく中で、その作業が私はとても好きになったし、これが介護の楽しさではないかと考えています。

また、面談などに行かせていただく中で、在宅介護にも興味をもち、「家族に対する介護」の見方も少しずつ変わってきました。
やっぱり、家族の介護って辛いものがありますよね。
親御さんが、兄弟が、お子さんが、誰かの手を必要としている。
変わっていく環境や状況に、辛い思いをされているご家族様も多いと思います。
そんな時には、ぜひ誰かに話してみてください。
難しいかもしれません。恥ずかしいこともあるかもしれません。
でも、介護を受けている方と同じだけ、ご家族様の心も大切です。
そのために、介護職がいます。
必ず、少しでもお役に立つはずです。
私たちRe:bertasもそんなお手伝いができるよう、がんばります!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?