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京都で柴漬けを買ってきた

しば漬け
すぐき漬け
千枚漬け

これらは「京都三大漬物」と呼ばれている。

京都出身の自分にとっては、どれも馴染みのある漬物である。
日常的に漬物を食しており、京都三大漬物も食卓に上る漬物の種類の1つ、という感覚。(千枚漬けだけは、主に正月におせち料理と一緒に並んでいるもの、という記憶。あるある、なのだろうか。ちょうど旬がこの頃だから、というのも正月に食べていた理由であろう。)

東京に引っ越してから、今まで全国的に食べられていると思っていた漬物の一部は京都の伝統的な漬物で、地域ごとに様々な漬物があることを知った。
柴漬け、千枚漬け、すぐきの名前を出しても、それ何?と聞かれることも多かった。
スーパでもあまり見かけず、帰省したときに土産物として購入することが増えた。
食べる頻度は減ったけれども、たまに出会える地元の味として、楽しんでいた。

漬物への意識が変化したのは、発酵を学び初めてから。
柴漬けは、野菜と塩だけ、そして乳酸菌による乳酸発酵。
これにより保存性が向上したり、味や香りが変わったりするということに、興味を持った。
独特の酸味も、乳酸発酵によるもの。
調味酢につけた漬物も売られているが、乳酸発酵の風味とはまた異なる。

さて、先日久々に京都に帰ったので、柴漬けを買ってきた。
土井志ば漬本舗さんの、「土井の生志ば漬」
「生志ば漬」とあるが、伝統的な製法の商品は、この名称で売られることがあるらしい。

表には、このような説明が。

大原特産のちりめん赤紫蘇と塩だけで、昔ながらに重石をのせて木樽に茄子を漬け込んでいます。自然に乳酸発酵させた、これが本来の色と味わいです。


裏面を見ると、本当にシンプルな材料。

名称:塩漬
原材料:茄子、紫蘇、漬け原材料(食塩)

商品パッケージの説明にもあるように、京都市左京区の大原地区は、赤紫蘇の産地として知られている。
大原地区の「ちりめん赤紫蘇」は、多品種との交配が進んだ一般的な紫蘇と違い、山に囲まれ、寒暖差の激しい大原地区の自然の中で守られてきた原種とのことだそうだ。
そもそも、柴漬けは大原地区にある三千院の僧侶、聖応大師が発案したと言われている。


封を開けると、綺麗な赤紫蘇の色に染まった、茄子の断面。
長く食べていなかったので、最初は酸味に驚く。そして塩気は意外と少ない。
慣れると、この独特の酸味が嬉しい。

これが、茄子と紫蘇と塩だけの材料に、乳酸菌の力で出来ているとは、本当に不思議で面白い世界だ。

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