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ベンゾジアゼピンの減薬方法_22_離脱症状の生活への影響を考える

(この記事は、私自身の減薬の経験に基づき、減薬スケジュールの変更基準について書いたものです。ベンゾジアゼピンの減薬に対する反応には個人差がありますので、全ての人に当てはまるものではありません。ご自身の減薬スケジュールについて考えるための参考としてご覧いただけましたら幸いです。)

この記事では、前回の記事に書きました減薬スケジュールに影響する要因のうち、⑤の「症状が日常生活に対してどの程度の影響を及ぼしているか」について書きたいと思います。

ステイするかどうか、減薬のスピードを緩めるかどうかは、離脱症状がそれぞれの人の生活にどの程度の影響を及ぼしているかによっても変化します。

私の場合、生活に影響が出たことを理由に必ずステイをする症状を挙げるとしたら、「一睡もできない」「自力で調剤ができない」「水が飲めない」「ご飯がまったく食べられない」「自力で起き上がれない」「自力でトイレに行けない」「自力で服の脱ぎ着ができない」「お風呂に入れない」という状態になった時でした。つまり、「生存していくために最低限必要な日常生活動作」と「減薬を続けるための調剤」が自力では不可能になった時です。

私が他の記事で「大きな離脱症状」と表現しているのは、上記の「一睡もできない」ような症状が悪化し続けたり持続し続けたりして、内服量を元に戻したり長期間ステイしたりせざるを得ない状態になる事を指しています。
私の場合、初めに10%や0.1%/日の減薬をした時には、上記の症状が悪化して持続し、生存するために必要不可欠な事が何もできなくなったため、これ以上減薬するのは絶対に無理だと感じる状態でした。
一方、マイクロピペットによる超微量の減薬を始めてからは、このような状況がしばしば起こりはしたものの、一つ一つの期間は短く、悪化し続けるということはありませんでしたので、短いステイと細かい減薬量の調節を繰り返しながら断薬まで続けることができました。

大きな離脱症状が続いても、24時間ベッドに寝て、点滴をして、オムツをしていれば生存はできるじゃないか?とも言えるかもしれませんが、それでは調剤ができません。また、私の場合には、一度悪くなった症状が完全に元に戻ることはありませんので、そこまで症状を悪化させたくありませんでした。
ただ、減らせばそうなる可能性のある薬を減らすのだという覚悟のようなものはありましたので、看護師さんヘルパーさんなどとのつながりが必須と考えて、そのような環境を整えてから減薬を加速し始めました。

人によってはこの「生活に影響が出たことを理由にステイや減速をする基準」が「仕事に行けない」だったり「家事ができない」になるかもしれません。
もちろん、まったく離脱症状が無くて、今まで通りの生活が何の支障も無く続けられるに越したことはありませんが、減薬するとどうしても離脱症状が出てしまうという方も多いと思います。このため、しなければならない事・したい事などを考えた上で、それが可能になるように減薬スケジュールを決定・変更していくことになると思います。
例えば、離脱症状で不眠になったことによって、結果的に仕事・家事ができないのであれば、ステイ・減速するという形で、不眠と減薬スケジュールの関係を考えていくことができます。
また、日々の生活の中で、しなくても大丈夫なことは無いか、誰かに頼めないか、生活を変えられる部分が無いかを考えることで、減薬がよりスムーズになる場合もあるかもしれません。

なお、私の体調の目安が上記のような基準になっているのは、私の症状が減薬を開始する時点ですでに非常に悪くなっており、ご飯が食べられるかどうか、トイレに行けるかどうかというレベルで変動していたからです。
もし何も症状も無かった方が、減薬によって一気に私のような症状になった場合には、後遺症が残る可能性がありますので、速やかに内服量を元に戻して仕切り直し、さらにゆっくりとした減薬を行って頂きたいと思います。そして、ある程度普通にお仕事などの日常生活ができる状態を基準にされることをおすすめします。

前の記事にも書きましたが、私はあらかじめ基準を決めていたわけではありませんので、その時々によって判断はかなり流動的でしたし、上記のような状態になっていなくても、他に何か予定がある場合などは、複合的に判断してステイや減速をしていました。症状のために上記のような生活上の動作が不可能では無いもののギリギリできるかできないかという時にも、ステイしていた時もありますし、ステイはしなくても減速はしていました。

なお、睡眠時間と減薬スケジュールとの関係についてご質問を頂きましたので、強いて睡眠時間で基準を考えるとしたら、私の場合には、一睡もできない時はステイ、睡眠時間が数時間であればその日の体調次第、4時間以上であれば不眠を理由に減薬スケジュールの変更はしないという感じだと思います。
これは長寿や健康のために理想的な睡眠時間の話では無く、私が個人的に、昨日の疲労を夜の間にある程度回復できたと感じられる睡眠時間の話です。また、私は毎日昼寝をしていますので、それで挽回できるという点も考慮しての事です。
一般的な研究結果として言われている正しい睡眠ができる事を優先してしまうと、私の場合にはまったく減薬できませんでした。私は減薬しなくても様々な離脱症状が出ていたために理想的な睡眠をとる事は不可能でしたので、それを達成しようとすると、さらに様々なお薬を飲むことになっていたと思います。


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