ハマった沼を語らせて

#ハマった沼を語らせて

オンラインゲームで15歳の男子高校生に沼りました。当時私は25歳のOL。

勤めていた会社で先輩に分からないことを質問するも嫌な顔をされ、ちゃんと仕事も教えてくれず、聞こえるように悪口を言われたこともある。助けてくれる人はいなかった。そんなとき唯一の生きる楽しみが家に帰ってからのオンラインゲームだった。まんまとゲームのフレンドの一人の男子高校生に沼ってしまった。

フレンドになってからほとんど毎日一緒にゲームをした。
辛い日常を忘れさせてくれる唯一の至福の時間だった。

彼が学校から家へ帰ってきて夜ご飯等を済ませて一緒にゲームをできるのは毎日21時から。その前に一旦学校から終わって18時半頃彼はいつもゲームにログインしていた。毎週月曜日は学校終わりに塾があるからゲームはできなかった。
連絡先は交換していなかったしゲーム内のボイスチャットもしたことがなかった。そのため、ゲーム中にゲーム内のチャット機能でやり取りする程度しか会話をしたことがなかった。そのチャットで彼のことをたくさん知った。
どの武器がお気に入りなのか、このゲームを始めたきっかけは何だったのか、他にゲームをやっているのか、どの辺りに住んでいるのか、何部に入っているのか、今日学校で何があったか、学校でなんと呼ばれているのか、週末は何をしているのか、何が好きなのか、彼女はいたことがあるのか。

彼のことで頭がいっぱいだった。毎日が楽しかった。仕事中の嫌がらせも彼のことを考えると受け流せた。

たまに彼の学校の友人も交えて一緒にゲームをした。彼が私そっちのけで友人と楽しそうにしているのを見て嫉妬していた。
もう寝るから落ちるねと言ったのに落ちずに他のフレンドとゲームをしていたときも悲しかった。

彼とフレンドになって3ヶ月が経った頃、私の誕生日があった。彼はゲーム内で誕生日おめでとうというメッセージと共にアイテムを送ってくれた。嬉しかった。アイテムを確認というボタンをタップするとアイテムが効果音とともに消えてしまうのが辛かった。
私ついに26歳になったんだな、と覚悟を決めた。

彼にアイテムのプレゼントのお礼とともに、お別れのメッセージを送った。彼からはなんで?と返信。私は返事ができなかった。しばらくして、彼から「さよなら」とだけ来た。それを見て、フレンド一覧から彼を削除した。

寂しくて寂しくて涙が止まらなかった。ゲームのことでこんなに泣いてしまうなんてなんて自分はなさけない人間なんだろうと冷静な自分もいた。
でもこれでいいのだと思えた。

あれから年月は経ったが、今でもたまにあのゲームのこと、彼のことを思い出す。
まだあのゲームをやっているのだろうか。まだあのときの友人とは仲良くやっているのだろうか。どんな大人になったのだろうか。私のことを覚えているのだろうか。そんなことを考える。

辛い毎日に痛み止めを打ってくれるような存在であったが、私を深い沼に沈めて苦しい思いをさせた存在だった。

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