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カラスのダダ漏れ①

たまには(?)煩悩ダダ漏れ記事を書いてみようと思います。

現在、放映中の大河ドラマ鎌倉殿の十三人。大好きなんですよ。三谷幸喜の脚本とキャスティングって天才的だと思います。ドラマ作りがオタクのツボを心得てるよね!って思う。

根拠はないけど、例えば「三谷幸喜好きな人の中でサスペンス漫画好きな人は何%くらいか」ってアンケートがあったら間違いなく50%は超えると思うんですよ。
私が言うところのサスペンス漫画は、恋愛不倫系以外で、SF、医療、警察、報道(主人公がメディアの人間、または過去に起きた事件の実録系)を指します。

アイアムアヒーロー/花沢健吾/ビックコミックスピリッツ

……いや恋愛不倫系の漫画も読みますよ。けどちょっと趣旨を外れるので、ここではそれ以外で。
私はサスペンスドラマにめちゃ弱いんす。実写、アニメ、漫画問わず。

アンナチュラル/TBS/2018



──で、小栗旬ですよ。

北条義時役 小栗旬


このドラマ、すごく面白い!って夢中になる気持ちの隅で、んーなんだっけー前にもあったよねこんなの感、をずっと感じていて。

第十七話「助命と宿命」で、北条義時(小栗旬)が姉の政子に言う台詞。
「我らはもう、かつての我らではないのです」
これを聞いてようやくバチっと来ました。

「そうか『ゴッドファーザー』だわ」

理不尽な処刑でも……


三谷幸喜の「新撰組!」もそうなんですけど、組織がテッペン取った後のドロドロした内部抗争がお話のメインで、素朴な正義感と純粋な志を持った主人公が、その才覚で組織の上に行けば行くほど、理不尽な処刑とかをやらなきゃならない場面が増えて、苦悩しながらもどんどん闇に染まってゆく……というのが、たまらないポイント①。
そして、その「闇」は、本当は主人公が元々持っていた資質で、本人もそれを自覚してなかったけど、状況によって開花したんだよーというとこがポイント②。

神回と評判の第十五回「足固めの儀式」


「鎌倉殿の十三人」と「ゴッドファーザー」が似てる、という話ではなく……
たぶん私が(そしてサスペンス好きの多くの人が)こういう闇堕ち、たまらん!と感じる、ということを言いたいのです。
ここにグッとくるドラマ作りのポイントがあるんじゃないか……。

「ゴッドファーザー」は、実家の家業(?)であるマフィアから距離を取っていた末の息子が、なんだかんだで巻き込まれて、ファミリーの中で頭角を表していくが、強い絆で結ばれていたはずの仲間や家族間でしだいに孤立し、孤独で非情なリーダーになってゆく、というお話。

ひとりカメラから目を逸らす彼が、やがて

こういう、組織の力学の中で変わっていかざるを得ない男or女の苦悩と葛藤って、あれですかね、サラリーマン、中間管理職の悲哀みたいな。そういう感触が大人に受けるんでしょうかね。
私がグッとくる主人公って、そういう側面が大きいかも……。
警察系、医療系の主人公も、世の中の不条理に怒る、でもって無力感を感じるって場面が、やっぱドラマ的にはオイシイとこだし。
大人なら誰でも感じる、組織や体制に対しての怒り。彼らが代わりに怒ってくれる、糾弾してくれてる、みたいな形にカタルシスを感じるのかもなあ。



ちなみに。私が小栗旬を好きになったきっかけは「BORDER」というドラマでした。

テレビ朝日/2014年
生死の境をさまよったことをきっかけに、「死者と対話することができる」という特殊能力が発現した主人公の刑事・石川安吾(小栗旬)が、無念の死を遂げた人々の声に耳を傾け、生と死、正義と法、情と非情の「BORDER(境界線)」で揺れ動きながら事件に立ち向かっていく姿を、スリリングに描き出していく。
<上記サイトのあらすじから抜粋>

(私はこれで脚本:金城一紀のことを知り「SP 警視庁警備部警護課第四係」「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」も観ました。小説「GO」も読みました)

……あらすじにもある通り、主人公には被害者の声を直接聴く能力があるので、最初から犯人が分かっている。が故に、立証しようとめちゃくちゃ頑張り、頑張り過ぎて手段を選ばなくなり、どんどん刑事としてグレーゾーンに……それを越えて黒の側に近づいていく、というもの。
ねっ、北条義時と被ってるっておもいません?
三谷幸喜、このドラマ観てキャスティングしたんちゃう、と感じましたよね。

死者役の宮藤官九郎。
この「追憶」という回、神回です!


金城一紀のドラマはアクションに拘り強めなのも特徴です。
「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」では、西島秀俊と共に身体を張ったアクションてんこ盛りで、毎回、目がハートに😍💕
あと、この脚本家のドラマは安易なハピエンに収まっていかないのも特徴。「犯人を捕まえて終わり」じゃないのです。
組織や体制への疑問……からの怒り。って方向に話が流れていくから、必然的にそうなるわけで。

日本の役者で魅せるアクションできる人は貴重!

……おっと話がズレました。金城一紀とアクション愛について語るのは、またどこかの機会にて。

闇堕ち系のたまらないポイントとは要するに、人間が変わってゆく過程なんだよなー…けど、刑事or警察ドラマの8割はその類型じゃないかと思われるので、他とどう差別化するのかってトコがポイントなのかなとか思うわけです。

(と、そこまで考えて、刑事警察医療系で主人公がヒロインの場合は、主人公がブレないプロ意識を最後まで貫くパターンが多いなと思った。「アンナチュラル」「ストロベリーナイト」「アンフェア」「ケイゾク」……。むしろダークサイドに堕ちゆく女主人公の話、って恋愛系以外であったかな?
うーんなんで刑事医療系の女主人公は闇堕ち系無いんだろうなー私が知らないだけかもしれないけど)

純粋な人物が現実を知ることで変わってゆく、という類型でオイシイと思うもうひとつのパターンは、新米刑事&ベテランの悪徳刑事もの
最初は喧嘩ばっかのペアが、色々な事件を経ていい関係になってゆく、てのはバディものの典型パターンなんですけど、それのダークバージョンですね。

代表的なのは「トレーニング・デイ」。デンゼル、カッコいいよさいこう……っ💖

ワーナー/2001年


最近だと「孤狼の血」。小説も映画も良かった。
映画は役所広司の「the☆超絶有能やさぐれオッサン」って佇まいと、死んだ目で相手をボコボコにする松坂桃李さいこうすぎる。ぜひ続編も観たい。

東映/2018年


……最後に「BLACK LAGOON」のロックこと岡島緑郎のビフォーアフターを貼って終わります。
私が生きてるうちに完結しますように!

before
after


……オタクのキーワード: 苦悩の果ての闇堕ちは、さいこう

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