芸術祭へのお誘い:佐渡島の大自然でアート空間に浸る
8月から、日本海最大の離島 佐渡島(新潟県)にて、島全体を会場とするアートフェスティバル「さどの島銀河芸術祭2021」が開催されています。私も、作家として参加させていただいています。
今回、私が出展する作品は、ふたつ。
『加茂湖サウンドインスタレーション』と、『サウンドインスタレーション「箱」』です。
私が初めて佐渡島を訪れたのは、2020年10月。フランスから戻って隔離期間を得て、少ししてからのことでした。島全体を使った芸術祭が開催されていると、聞いて、すぐに下見に行くことにしました、島に到着し、芸術祭のスタッフの方の案内で島内を巡り、いくつもの自然が豊かで美しい場所を見せていただきました。
その中でも、特にその美しさに魅力されたのは、日本百景の一つにもなっている加茂湖でした。
(こちらは、私がiPhoneで撮影した加茂湖)
水面には、日中は曇と青空。日が暮れるころには夕焼けが映り込み、2つの世界が、1つになり、そこは、世界の入り口のよう。そんなことを考えながら、湖をぼーっと眺めながら、湖のほとりに立っていました。
もう、この時点で私の心の中ではこの湖を舞台に作品を作りたいっと思っていました。想像と創造のエネルギーが降り注いた瞬間でした。
佐渡島に滞在しながら、浮かんだイメージは2つ。のちにAプラン Bプランと呼ばれ、芸術祭開催まで、実行委員会の方々含め専門家を入れてAプラン Bプランの両方は実現可能か、考察されます。
Aプランと呼ばれる湖を使った展示は、電気も水道もガス通っていない大自然な場所。そのため、音響を使った作品展示の実現化には、いくつもの検証が必要でした。
2021年4月、5月、6月中旬くらいまでその協議は行われていたのですが、その間、わたしは、AプランもBプランもどちらも準備していました。
そのため結果として自然な流れで、2つの展示をすることとなり、2つの作品を形にすることになりました。
一つ目の作品、加茂湖の西に展示されている『加茂湖サウンドインスタレーション』をご紹介します。
『加茂湖サウンドインスタレーション』作品紹介
加茂湖の周りに、5台の白い音響オブジェを点在させました。これによって、佐渡島の大自然と音楽のコラボレーションが実現。私にとって、このオブジェを含む空間そのものが作品です。
少し前まで私は、パリに住んでいました。パリの人は、ピクニックが大好き。ルーブル美術館の前も憩いの場となり、いつもたくさんの人々がピクニックをしていました。パリでは、アートもピクニックも、毎日の風景。
特に最近は、コロナ禍で、自宅にいることが多くなり、人とのつながりも、外に出ることも、少なくなり、少し寂しく感じていました。
そんな中、加茂湖の芝生を見たときに、よくピクニックをしていたのを思い出し、懐かしさを感じました。そして、ここで安らぐ人々のイメージが湧きました。私は以前よりコンサートホールだけが音楽鑑賞の場ではないと以前より考えていたので、新しい音楽鑑賞の仕方を提案しようと思いました。
野外にいくつかの音響オブジェが設置されて、自然の中で、人々がリラックスしている憩いの場でアートが融合していて、ナチュラルに時間が流れていく。そんな空間を作るこれがコンセプトでした。
この作品は、佐渡島の自然と、音響オブジェと、そこに集まる人々。その時間と空間のすべてが、一つの世界。みなさまが、佐渡島の展示作品、私の音楽の世界の中に参加してくだされば嬉しいです。
さどの島銀河芸術祭 会 場:佐渡島内複数箇所
2021年8月8日(日)〜10月3日(日)
主 催
さどの島銀河芸術祭実行委員会/一般社団法人佐渡国際芸術推進機構/アース・セレブレーション実行委員会
助成: 文化庁 公益財団法人 福武財団
次回のnoteでは、もうひとつの作品『インスタレーション「 箱 」』について、ご説明します。