今年の夏休みはRTAを見てほしい
RTAってご存知ですか?
RTAというのは"Real Time Attack"の略で、ツールを使わずにゲームをとにかく速くクリアすることを追求するプレイスタイルのことを指します。
要はゲームのタイムアタックのことなのですが、「人が速くゲームをクリアする様を見て何が楽しいの?」と思う人もいるかもしれません。
実はRTAというプレイスタイルによって、みなさんがやったことのあるゲームの印象や楽しみ方が大きく広がると、私は思っています。
そのため今回は、「RTAって何?」という人に向けて、RTAの魅力を紹介していこうと思います。
知っているゲームがスポーツになる
こちらの動画はスーパーマリオを二人の別なプレイヤーが同時にプレイしている映像です。最初はどちらのプレイヤーも、ほとんど差が有りません。これはお互いのプレイヤーが1分1秒を削る為に日々練習した結果、自ずと全く同じ操作になっているのです。
ただ、6分38秒頃に、お互いのプレイヤーがミスをして、差が生まれます。これもすべて人間が操作していることによって発生してしまうのですが、ここから「どちらが速くクリアできるのだろうか」と思って見ていただけると、面白いのではないかと思います。
このようにプレイヤーの技術がぶつかり合い、競い合いが生まれることで、知っているゲームが、まるでスポーツのようになってしまうのが、RTAの魅力だと思います。
人間ワザとは思えないプレイが見れる
次に紹介する映像は、「ゼルダの伝説 時のオカリナ」のRTAです。
このゲーム、知らない人の為に簡単に説明すると、緑の服を着た主人公が、 特別なアイテムを色々ゲットして様々なボスを倒してクリアする、というゲームで、大体20~60時間かかるゲームとなっております。
ただ、この映像では7分49秒という驚異的なプレイ時間でクリアをしています。
一体どうやってクリアしているのかというと、実はゲームに存在するバグ(ゲームの不具合)を使ってクリアしているのです。
RTAのルールは、ツールを使わずにゲームをとにかく速くクリアすることなので、極端に言えば人為的にクリア画面を表示するバグを呼び出せれば、正式にクリアとして認められちゃったりします。
なので、そんなバグを呼び出すために、おおよそ普通の人が行わないような特別な操作を行っているのです。
大まかに操作内容を説明すると。
剣を入手する
↓
お金を集めてお店に入る
↓
盾とデクの実というアイテムを買う
↓
??? わけのわからない操作をする ???
↓
岩を持つ
↓
岩を"無"に変える
↓
特定の場所に"無"を置く
↓
先程のお店に入る
↓
クリア
という内容の操作を極めて高速に行っています。
(個人的にこの動画の一番好きなシーンは8分9秒頃の「まったくもって何がなんやらだが、ぶっちゃけ自分もそんなに理解していない」というクリア後のプレイヤーのコメントです。お前もわからないんかい。)
この通り、急にボスが倒れて、あっというまにクリアとなります。
もちろん全てのゲームで、こんな都合の良いバグが有るとは限らないので、先のマリオのようなプレイもあれば、こちらのような常軌を逸したプレイを見れるというのも、RTAの面白さの一つなのではないかと思います。
速さを追求するあまり、アホなプレイになる
次に紹介するのは、「夏色ハイスクル★青春白書」のRTAプレイ映像です。
このゲームを簡単に説明すると、とある島を舞台に、ひと夏の間引っ越してきた主人公と、登場するヒロインが恋愛をするゲームで、ヒロインの好感度を上げて、最後の引っ越しの日に、ヒロインから告白され恋仲になればゲームクリアとなります。
ただ実際は、ヒロインの好感度を上げるにあたり、主人公が島を巡りながら、ヒロインからの頼まれごとをこなす(おつかいをこなす)ゲームとなっています。
説明の通り、クリアするにあたり島を巡る必要がある為、移動手段が重要になります。
このゲームでは移動手段として自転車が使えるので、普通の人が速くクリアするのであれば、自転車を駆使して島を巡ることになります。
ただ、RTAではちょっと違います。
主人公は歩く・走る、という他にもスライディングというアクションが行えるのですが、速さを追求するあまり、全編に渡り主人公の移動が高速スライディングになるという非常にシュールな映像となっています。
実は高速スライディングで移動するのはれっきとした理由があり、検証の結果、自転車での移動よりも高速スライディングでの移動のほうが速い為、このような移動になっているのです。
他にも、壁際で自転車を降りると壁抜けができるというバグを駆使して、島の反対側に一瞬で移動したり、このゲームでは日数という概念が有るのですが、女子の前でほふく前進をして警察に通報させ、停学により日数を潰すというプレイを見ることが出来ます。
このように速度を追求した結果、非常にアホなプレイが見れてしまうという点も、RTAの面白いところです。
実力と運が結果を左右する
最後に紹介するのは「街へいこうよどうぶつの森」のRTAプレイ映像です。
「どうぶつの森」といえば、Nintendo Switchの「あつまれ どうぶつの森」が昨今話題になっていますが、こちらはWiiで発売されたどうぶつの森シリーズとなっています。
こちらも簡単にゲーム内容を説明すると、引っ越してきた村で魚釣りや、虫取り等を行いながら、のんびりとした生活を送るという、一見するとクリアの無いゲーム内容となっており、RTA出来るの?と思うかもしれませんが、実はゲーム中に、引っ越してきた街に建てられた自分の家のローンを返済するというイベントが有り、そのローンを返済し切るまでの時間を競うRTAとなっています。
このRTAでは、ゲーム内の特定の日にぴょんたろうというキャラクターに話しかけると発生するイースターイベントがクリアのミソとなっています。
そのイベント開始からクリアまでの流れを説明すると、
村のそこらじゅうにたまごが埋められる
↓
たまごを掘り出して開けるとランダムで当たり券が出てくる
↓
当たり券を2枚見つけ、それを村役場の前に立っているぴょんたろうに渡す
↓
2つ家具が貰えるので、その家具を商店に行って売る
↓
そのお金を、村役場にあるATMに振り込む
↓
クリア
という流れになっています。
ただ、当たり券を引くことができるかは完全に運で決まるので、掘り出した最初の2個のたまごがどちらも当たり券であれば最速なのですが、必ずしもそうはいかないため、何度もたまごを掘り出すことになります。
この当たり券が出るか出ないかにより、全ての結果が左右されると言っても過言ではないのです。
さらには、村役場と商店の距離も関係してきます。このイベントでは村役場と商店を往復するのですが、実はこのゲームの村役場と商店の位置は始めたときにランダムに決められるので、この村役場と商店の移動距離も最後の最後に重要になっています。
今回は紹介する映像は、二人のプレイヤーのうち、どちらが最初にローンを返済できるかを競っており、画面左側の松二さんが一歩リードでイースターイベントを開始し、それを追うように、画面右側のソードフィッシュさんがイースターイベントを開始させようとしている場面(23分52秒)から、次の映像をご覧ください。
かつて、これほどまでにどうぶつの森というゲームが人々を沸かせたことが有っただろうか
序盤は確かに松二さんが優勢だったが、ソードフィッシュさんの方が当たり券が出るタイミングが早かった為、差を縮め、更に村役場と商店の距離もソードフィッシュさんが近かった為、更に差を縮め、最後はソードフィッシュさんの方がATMに金額を入力する速度が速かったことが勝因となり、最初遅れを取っていたソードフィッシュさんが勝利したのである。
しかもソードフィッシュさんはこんな展開を予測していたと言わんばかりに、ATMへ金額を入力する為だけにキーボードを用意していたと豪語。
実はこの「街へいこうよどうぶつの森」はキーボードを使ってテキストチャットが出来るのだが、その機能の副産物として、ATMへの金額入力もキーボードで行うことが出来たのだ。
(キーボードもゲームコントローラーの一つとして位置付けられるので、ツールとしてはカウントされない)
このようにギリギリまで確率に翻弄されつつ、最後はプレイヤーの実力を以て勝負を制することが出来たのである。
また、これを見ていた人たちは、普通にどうぶつの森をプレイしていれば到底味わえなかったであろう興奮を味わうことが出来たのだ。
繰り返しになりますが、RTAにより今までのゲームへの印象や楽しみ方が大きく広がると、私は思っています。
このnoteをきっかけにRTAを見て、更にゲームを楽しんでくださる方が増えれば幸いです。
RTAがオンライン生放送で見れるイベントが開催されます
実は2020年8月13日から8月16日の4日間にかけて「RTA in Japan Online 2020」というイベントが開催されます!
このイベントでは4日間の間ほぼノンストップで様々なゲームのRTAを生配信で行います。実施予定のゲームとしては先程紹介したマリオシリーズやゼルダの伝説シリーズに加えて、ファイナルファンタジーシリーズ、ドラゴンクエストシリーズ、ロックマンシリーズといった、知らない人でも聞いたことが有る、見たことが有るようなゲームや、ファミコン屈指のクソゲーである「星をみるひと」といった知る人ぞ知るゲーム等様々なゲームがRTAとしてプレイされます。
他のゲームタイトルや日程の詳細はこちら
https://oengus.io/marathon/rtaijo2020/schedule
今のご時世、夏休みの間は家に出ず過ごそうかな…という方、今頃オリンピックを直接会場で見てたはずなのにな…という方、今年の夏はRTAを見て、夏休みを過ごしてみませんか?