偽りの自信、自己肯定感

加藤諦三さんが、
東大とかを出て官僚とかサラリーマンになって、つまりエリートコースだけど、
鬱になったり、自殺した人は知り合いで何人もいると話していた。
彼らは、
エリートであること、
頭が良かったり学歴だったり能力だったりが
普通の人より高いこと、
その高いポジションの学校とか職場に所属していることに依存して、
家族や親戚や周りの人間から
「自分は仲間として受け入れてもらえる、
人間扱いしてもらえる、
価値を認めてもらえる」
と感じて、そこに頼り切って生きてきたから、
何か少し失敗したり、
挫折を感じると、
自分の価値やポジションが全て崩れたように感じてしまうと話していた。

昔のマラソン選手の円谷という選手が、
オリンピックで銅メダルを取ったあと、
「申し訳ありません、もう走れません」
と書いて自殺したエピソードを例に挙げて、
「家族や他人からの外的な承認や、
競争による勝者の地位を
求めると、劣等感が強化される」
と。

外的な地位、特別な価値、承認や愛を求めると、
「自分は根本的に無価値で、劣った存在、
愛されてない存在、
受け入れてもらえない存在である」
という信念が無意識に強化/維持されるから、
偽りの自信や自己肯定感を高めれば高めるほど、
表面上は自信満々に見えるけど、
苦しくなると。

ほぼ全身麻痺になった父も、
50年かけて築き上げた大部分が、
一夜で全て消えた。
仕事の能力、肉体の強さ。
知識や経験、判断力、発語はまだ残っているけど、
認知症とかになれば、それも消える。 

大学を辞めた時の自分も、
両親や友人、親戚からの、
「期待通りに生きてるから、あなたを受け入れてあげる」
という承認や受容、所属感、社会的な地位やポジション感を一気に失ったから、
ものすごい恐怖、トラウマみたいな
パニックと恐慌状態だった。

だから、エリートコースに行った人たちが
他人からしたらなんでもない小さな失敗で
自殺したのも、わかる気がする。

偽りの自信、自己肯定感が剥ぎ取られたように感じて、
無意識の無価値感、劣等感、強烈な恐怖、
が一気に噴出したから、
そのあまりのショックと苦痛、屈辱、恥、
絶望感に、耐えられなくなる。
その時はそれが死ぬまで続くように感じるから、
本当に無間地獄に叩き落とされたような感覚だったと思う。

ミッチ・アルボムという人が、
メジャーリーグをクビになった選手が
酒に溺れたり、
鬱になったりすると話していたのも同じだと思った。

今でも、自分には、何か手柄とか実績を証明して、
自分の個人的な価値や能力を証明したい、
という欲求はあるみたいだ。

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