第十六話
路地裏①
東向島の夜は暗い
しん・・・と寝静まる中
自分の足音がいつしか後ろから聞こえてくる
闇の中でも黒く浮かび上がる軒沿いに蛇行する
私はその中にぼう・・と霞む白光の場所を覚えていて、探していた
「おい、亜巻」
ふいに呼ばれ、「俺だ、撫嶋だ」
「ああ、なんだ撫嶋か」

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