第七話
ひだるい(2)
その山男は言い伝えを守り
山に仕事に行く時は必ず、弁当を一口残して山を下りる
下りきった後に、残した一口を子に与えていた
一口残した弁当はひだる神のため
山を下りた後
ひだる神も一緒に下りたのかも知れぬ
娘は年々痩せ細り、年頃だと言うのに枯れ木のようである

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