生産効率ばかり見てると、なくなってしまうかもしれないこと。
年が明けると落花生の収穫最盛期も終わり、ひと段落といった感じです。昨年の収穫分は、実のできは例年以上に出来が良いと言われています。『注文いただけた方は、満足していただけたかなぁ。』と思ったりもします。
年末製造から出荷までバタバタな中でうかがった工場訪問。その中で、気になる話を耳にしました。『他の落花生屋さんには、落花生が入荷してないんじゃないか。っていう声を聞いたりするんですよね。』というのです。
良い実がなるのに、落花生屋さんに落花生がない。そんな話を聞くと頭をよぎるのが【生産量の減少】です。加えて農家さんの高齢化。一次産業に目を向けていくと向き合っていかなければならない課題と感じます。
生産量が減るだけならまだしも、千葉の落花生がもしかしたら『味が悪くなった?』と言われてしまう時がくるのではないか。そんな事まで考えてしまったりもします。
なぜぼっちを作るのか。
落花生を収穫していく上で、欠かせない存在がぼっちと呼ばれるものです。このnoteのタイトル画像にも使用していますが、改めてぼっちをご紹介します。
落花生を掘り上げ少し乾かした後に、内側に実のなった落花生が積み重なるように落花生を積み上げていきます。ぼっちにしている期間は長いと1ヶ月近くにもなり、乾燥させることで旨みがギュッとしてくるそうです。
千葉市のホームページに『落花生ができるまで』の説明がありましたので、ご参考にしていただければと思います。
ぼっちの内側に落花生が隠れるように積み上げていくのは、乾燥させている間に、天敵のカラスたちに食べられないようにする為です。タネを植えた時もそうですが、収穫時期にも美味しい落花生を狙ってカラスたちが畑に食べに来ます。
そのカラスからの攻撃を回避しながら、気温が下がり始めた秋に天日で乾燥させていくのに、うってつけの乾かし方がぼっちになるのです。ぼっちの背丈は約150cmにもなり、大きいものだと大人の身長を超えるくらいまで積み上げる方もいます。
なぜぼっちと呼ばれるのか、今はビニールシートを一番上にかぶせて、雨よけにしている農家さんが多いのですが、以前は藁で笠のようなものを作りかぶぜていたました。
これがぼっち笠に似ていることが、その名前の由来とされています。
このぼっちを作り丁寧に乾燥させることで、千葉の美味しい落花生ができてくるのですが、最近では『手が回らない。』『生産量がまかなえない。』そんなことが理由となり、『味に影響が出る作業をなくしてしまう人も出てくるのではないか。』と言うことも考えられるようになってしまうのです。
つまりは、このぼっちを作らずに乾燥のあまい状態で収穫され出荷される可能性も出てきてしまうのです。
効率化ばかり叫ばれると。
近年ビジネス社会に限らず、少子高齢化と言うことを本当によく目にするようにもなりましたし、その現実を目の当たりにするようにもなりました。
だからと言って、いつまでも同じことをしていれば生産量は落ちるだけで、なんの問題解決にもなりません。今までの味を維持しつつ、生産量も確保しながらお客様のもとへお届けする。
言葉にすれば簡単なことですが、やはり一次産業の現実に目を向けていかなければいけないなぁ。と日々実感しております。今まではどこかお願いするだけの姿勢で、『あっ!入荷してきた。』『今年もよく売れたなぁ。』と思うだけで、作り方や生産量までは目が行き届いていませんでした。
より早い段階で、多くの落花生産業に携わる方の話を聞きながら、私たちができること、取り入れていかなければいけないことを考察しながら、この2022年は取り組みを行なっていきます。
まずは、収穫体験からカタチに。協力していただける農家さんに挨拶まわりをしてこようと思います。みんなのより多くの笑顔を今年も作っていきますよ。
引き続き、応援のほどよろしくお願いいたします。