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詠むための一首評: あしたには遺伝子を操作されること知らぬナズナは長く根を張る/滝ノ瀬莉子

あしたには遺伝子を操作されること知らぬナズナは長く根を張る
滝ノ瀬莉子「遺伝子を抱く」

第36回歌壇賞次席作から。「遺伝子操作されるナズナ」というのは、その分野に関わっていないとすぐには出て来ないだろうと思うのだけれど、自分の運命が変えられてしまうことを知らず、それでも精一杯生きている、ということでしょう。素直に読めて共感しやすい歌ですが、遺伝子操作という誰にでもある日常ではないところが俗っぽい情緒に流されることを堰き止めている。分かりやす過ぎるかも知れないが、読み解こうとしても何も語れない歌よりも遥かに心地よい。

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