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【解説チャレンジ⑤】個別最適な学び×ロイロノート〜個別最適な学びと自己調整学習の可能性〜最終回

解説にチャレンジする理由

解説チャレンジをしている背景はこちらの「解説にチャレンジする理由」の章をご覧ください。

自己調整学習ってなに?

自己調整学習(じこちょうせいがくしゅう)というのは、「自分で目標設定をし、達成のために自分で計画して、学びます。そして、その一連の流れを振り返し自身のことを客観的に見つめ直しながら次の学習方法を模索するアプローチ」のことです。
この学び方を通して、将来、色々なことを自分自身で学び続ける力が身につけることを目的にしています。

自己調整学習を進める3つのポイント

自己調整学習には、3つのポイントがあります。

やる気(動機づけ)

自分が「もっと知りたい!」とか、「これができるようになりたい!」という気持ちを持つことが大切です。好きなゲームをクリアしたい気持ちと同じように、勉強も「できた!」と思えることが増えると、もっとやる気が出てきます。
やる気が出てくる方法は2つあります。

  1. 自分自身の興味関心から湧いてくる内的な動機

  2. 先生や他者からの評価などによって引き起こされる外的な動機

2つは、どちらがいい悪いではなく、学習者がいかに前向きに学びに向かって促進するかが重要です。そのため、ある単元を学習する場合に子どもによっては、内的動機で学習することもいれば、外的な動機で学習をする子が出てくることもありますが、どちらがいい悪いはありません。

勉強のやり方(学習方略)

次に、どうやって勉強するかの方法です。方法は大きく2つあります。

  1. 頭を使う方法(認知的学習方略)
    これは、情報を覚えたり考えたりするやり方です。たとえば、教科書を読んで大事な部分を覚えたり、ノートにまとめたりする方法がこれにあたります。どうやって頭に知識を入れるかを考えながら勉強する方法です。

  2. 気持ちを整える方法(情意的学習方略)
    これは、勉強する気持ちをコントロールする方法です。たとえば、勉強が苦手でも「やってみよう!」という気持ちを保つために、休憩を取ったり、好きな音楽を聴いたりする方法があります。勉強を楽しむ工夫や、やる気を持続させる方法も含まれます。

どのやり方が自分に合っているかを見つけることが大事です。先生はいろいろな方法を教えてくれるので、その中から自分に合うものを選んで使っていくことが求められます。

自分を振り返る力(メタ認知)

「自分の考えや学び方をよく見て、うまくコントロールする力」のことです。
振り返る力をには大きく2つの要素が含まれています。

  1. モニタリング(見守ること)
    自分がどうやって勉強しているかやどうやって考えたかを「観察する」ことです。たとえば、今やっている勉強が順調に進んでいるか、どこがわからないか、しっかり観察することです。これは、勉強中に「今うまくいってるかな?」と考えるようなことです。

  2. コントロール(調整すること)
    観察した結果に基づいて、勉強のやり方を「調整」することです。たとえば、難しいところで時間がかかっているなら、やり方を変えたり、もう少し時間を使って丁寧に進めることです。逆に、簡単にできたところはもっとスピードを上げて進むこともあります

この「見守る」と「調整する」という2つの要素があると、自分が今どんな状況かをしっかり理解して、もっと効率よく勉強を進められるようになります。このスキルを身につけることで、より自分に合った学び方ができるようになるんです。

自己調整学習のサイクルは、組織学習の低次学習と高次学習に近い


自己調整学習は「サイクル(くりかえし)」で進みます。まず、目標を決める(何を達成したいか考える)ことから始まります。次に、その目標に向かって学びを実行します。そして、最後にその結果をふり返り、次はどうするかを考えます。この流れを何度もくり返すことで、どんどん自分で学べるようになるのです。そしてその積み重ねによってメタ認知しながら\自分の学習方法を見出します。

企業の組織学習に置き換えると、既存の価値観や規範など、従来の枠組みの中で継続的に改善を繰り返し行っていく「低次学習(シングルループ学習)」と、既存の価値観から脱却し、既存の枠組みそのものに変化・改善をもたらすような取り組みを行う「高次学習(ダブルループ学習)」の2つのレベルに分類されるように学校現場でも子供達は学びの手法を改善したり、学びそのもののあり方を見直していきましょうということが書かれています。

メンバーに対してマネジャーの助けが必要なように、学校でも先生の助けが子どもには必要

自己調整学習をうまく進めるためには、先生の助けが大事です。先生は、どんな問題を考えたらいいかヒントを出したり、難しいところで手伝ってくれたりします。でも、最終的には、みんなが自分で「どうやって学ぶか」を考えて進められるようになることがゴールです。

ビジネスの現場でもチームのメンバーはうまく進めるためには、マネージャーの助けも必要です。どんな問いや声かけをして、問題解決を手伝います。しかし、最終的にはメンバー自身がどうやって解決するかを考えて進められるようになることが大事です。

回答してくれた結果から、手助けするのはAIでも可能ですが、実際に取り組んでいる様子や学びの姿から状況を読み取るのは現時点では、先生でなければできません。

つまり、自己調整学習は、自分で学ぶ力を育てるための「自分で選んで、自分でふり返る勉強法」です。ゲームみたいに、自分のやり方を見つけてレベルアップしていく感じです。

まとめ:学校現場でも、ビジネスで言われているあたり前のことが動き出してます

学校現場もこれまでの一斉授業から、ここまで紹介してきたような複線型の授業を目指すことで、子供たちが自己調整を行い次の学びに繋げていく、それを全ての教科で行いがながら、学びのエコシステムを作ろうとしています。

これができるようになったのは学校現場にもテクノロジーがどんどん入ってきていることが大きいです。
ビジネス現場では、早いところだとiPhoneが登場して様々なことがクラウドで進むようになったと思いますが、学校現場でも起き始めています。

これまで授業は先生から見たとき子どもに対して「私とそれ」という関係でしか授業ができませんでした。なぜなら一人一人の今の学びの状況を可視化するのが難しかったからです。

しかし、テクノロジーがあることで、「私とあなた」という関係で授業を進めることができるようになりました。そして、逆も然りです。

子ども達からも「私とその授業」から「私と⚪︎⚪︎先生の授業」というつながりができます。それは自己調整学習をより進めることができるようことにつながります。
なぜなら、固有の先生と双方のやりとりを通して授業を振り返ることができるようになるからです。

実際の複線型授業の様子

宮城県岩沼市の取り組みがNHKで取り上げられました。

政令市のさいたま市の取り組みです。クラウドをフル活用して複線型の授業の様子がわかります。

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