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【読書記録♯2】 クモのイト

暖かい日がやっと来るようになってきました。桜が咲き始め、蝶々がパタパタと飛んでいるところを見ると春だなぁという気分になります。

春は植物や動物たちが冬を越えて動き出す季節です、桜のような大きな植物の動きを見ていると足元の小さな生き物たちの動きに気がつかないものです。私の家庭菜園の小松菜にもアブラムシがついて、あー……またこの季節になったと実感していたところです。


今回はミシマ社から出版されている『クモのイト』という本です。

タイトルと表紙のお通り、クモの本です。

私はクモが割と好きな方、とはいっても家の中に出てたら外へお行きと逃すくらいです。家庭菜園の小さな同居人と言えば良いでしょうか。見ている分には好きという感じです、なのでクモについてちょっと詳しくなれたら面白いかなぁと手に取ってみました。

クモや虫が苦手な人は……ご注意を、と思いましたが多分苦手な人はそもそもこのテキストを開いてないと思うのでさっさと内容に移ります。


・不思議と授業を受けているような気分になる

もちろんクモの本なのですが、それ以上に気になったのが文章の雰囲気。まるで大学の講義中に教授が雑談をしているような感じです。専門的な話でクモについて深掘りしていく場面もあるのですが、わかりやすく順を追って説明する形で深掘りをしてくれるので読者を置いていきません。

本当に講義を受けているみたい。

特に教授目線で学生の話をされているのが少し面白く感じるものでした。大学生だった頃に戻ったような、そんな気分で読めます。不思議な文章の雰囲気です。

課題だ、レポートだ、実験だ、と追われていた時期が懐かしい……


・読みやすい割に深い部分の知識が詰まっていた

ちょっとしたクモの雑学系の本かなぁ、くらいに読み始めたのですが。

大間違いでした。具体的な数字、数値、クモに纏わる実験などを読者にわかりやすい文章で解説をしています。所々にジョークを交えてくるのもちょっとギャップを感じて専門的なことを教わっているのに、難しい話だなぁとは思わせない。

そして何より『今度、クモに遭遇したら観察してみようかな』という気持ちにさせてくれるのです。

クモに秘められた能力、習性について原理から理解を深めていけます。


・最後に感想と身近なクモについて

科学的に見るクモの一面、知らないことがたくさん書かれていましたがさらっと読めました。そしてクモだけではなくクモと繋がりのある生き物たちに通づる話もされています。
身近にいるクモについてもっと知りたいという方にオススメです、クモの見え方が変わります。

身近なクモがどうやって生き残っているのか、どうやって過ごしているのか。
ちょっと知ってみると実体験を通して見たくなるものです。もちろん、クモにちょっかいを出すつもりはありませんが……(あくまで家庭菜園の同居人なので)


少し自分の話をしますが、もともと私はクモが苦手でした。

子供の頃、地方にある親の実家に夏休みで帰省した時に、ポツンとある電灯の下がジョロウグモの大きな巣だらけでギョッとした思い出があります。特にジョロウグモの奇抜な模様がゾワゾワとして、それからクモが苦手でした。

そんな私の転機はハエトリグモでした。

ジョロウグモと全く違ったフォルム、同じくクモではあるのになぜかハエトリグモは大丈夫だったのです。部屋の中でぴょんぴょん跳ねているクモに『これがハエトリグモ!』と感動していたくらいでした。なぜでしょう、小さくてちょちょっと跳ねている姿が可愛いと思えたのでしょうか。

……はじめてのクモにジョロウグモはハード過ぎたのかもしれませんね、今では普通に見るぐらいにはジョロウグモは大丈夫になりました。

どうやら尋ねる扉を間違えてしまったようです、アプローチの仕方で苦手だったものが『あれ、意外と悪くないかも』と思えるのはクモに限らずです。逆にアプローチの仕方を間違えると『やっぱりダメだ』『苦手だ』と意識をして離れていくものですから、なかなか難しいですね。

知識から入るクモというのも、面白いものがあると思います。

クモを知らないけど、ちょっと詳しくなりたいという方にオススメな一冊です。


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