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茶道を始めることで変わっていくこと⑦

明日は二十四節気の寒露。栗名月とも豆名月とも言われる十三夜でもあります。

この日にお供えすると言われる栗は、大阪では二週間ほど前から見かけるようになりました。大阪では愛媛産のいい栗が手に入りやすいです。今回はこの栗に絡めて書いてみます。

実家を出て一人暮らしを始めると、自分で洗濯や料理をしないといけなくなり、親のありがたさが身に沁みるようになる、なんて言います。
何事も自分でやってみて、大変さや難しさがわかります。

渋皮煮や甘露煮を作っておけばお茶事にも使えるだろうと、毎年栗仕事に挑戦しますが、この過程で様々な気付きがあります。

比較的綺麗で大粒の栗を扱っているお店がどこか。どの品種のものが美味しいか。その栗のうち虫食いのものをどう除くか。鬼皮はどのような温度の湯にどの程度浸けておくと剥きやすいか、渋皮煮なら渋皮は残して上手く剥けるか。渋皮の筋を除く細かい作業。数度の茹でこぼし。どんな砂糖を使うのが好みの味に仕上がるか。長持ちする保存方法。

知り合いが作ったものをいただくこともあるのですが、作るのにかかる時間だけでなく、考慮なさっていること、手間を考えます。出来上がった美味しいものをいただくと、この方は、何年かけてここに至ったのだろうと思います。昔は料理人さんの場合には、お金をもらっているのだから上手に出来て当然だと思っていたところもあったのですが、年を経るほどにその背後の修行の年月などにも思いを馳せ、感謝の気持ちが深くなっています。

茶道のお稽古が進んで行くと、外食で松花堂弁当などをいただく時にも一品一品がとてもありがたく感じるようになっていきます。自宅ではわたしが主に食事を作るので、外食だと人様に作っていただけるだけでありがたい。自分で手を動かすようになったからこそ、わかるようになったことかと思います。

様々なことに手を広げていくのは大変なことではあります。が、広げてみるからこそ見えてくる世界もまたあると思うのです。

今日の菓銘は「月兎」。
目が合うと、ちょっとどきどきします。

朝晩急に冷え込む時がありますので、どうぞご自愛ください。


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