見出し画像

甲辰(きのえたつ)の新年です②

忘れがたい始まり方をした2024年ですが早や12日。関西ではまだ松の内といいますが、街はとっくに通常運転になっており、我が家で松の内を意識するのは鏡開きと寒中見舞いを発送する時くらい。35年くらい前までは、お正月には多くの家が玄関や車にしめ縄を飾り、国旗を掲げていました。車の飾りのみかんが走行中に落ちて、道路上に踏みつぶされているのをよく見ましたが・・・いつの間にか見なくなりました。自家用車が普及してからしめ縄が消えるまでは、考えてみると短い期間だったのでしょうね。今、小学生くらいの子供が見ると笑っちゃうかも!?

さて、今年は辰年。十二支の中で唯一空想上の生物といわれる龍。誰も本物を見たことがないはずなのに、中国由来の外見のイメージをしっかり持っている方が多いと思います。ある世代だとアニメ「まんが日本昔ばなし」のOPが思い浮かぶでしょうか、ぼうやの乗っている緑の生き物です。

そんな龍の外見は、頭に二本の角が生えていて、髭もあり、4本の手足に五本の指(爪)、81枚の鱗を持つと言われます。中国では、この指(爪)が五本の龍は皇帝の象徴であり、装飾や衣装でも皇帝しか使えなかったとか。四本、三本の龍もそれぞれ使える身分が決まっていたようです。10年ほど前、中国に進出する日本企業に対し、中国の人の気持ちを逆撫でしないよう、指(爪)が五本の龍の絵柄を軽々しく使わない方がよい、という助言をしている新聞記事を読んだ記憶があります。日本で見られる龍は指(爪)が四本か三本のものが多いようです。

また、成功に至る関門を突破する意味の「登龍門」という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。これは黄河上流の龍門という激流を登り切った鯉は龍になれる、という伝説から来ていて、なんとその際に鱗が36枚(6の倍数で陰を表す)の鯉から81枚(9の倍数で陽)の龍へと変わっていることで、陰が陽に転じる力の大きさも表しているのだとか。昔の人は中々面白いことを考えますね。黄河も長く大きい分、自分が行くこともない上流ではこんなことが起きていても不思議ではないと、畏敬の念も含めて信じていたのでしょうか。

今日の菓銘は「瑞光の龍」。
こんなひょろひょろした線が龍を思わせてくれるのは、干支が辰の今年ならでは。頭に角らしき折り返しがちょっと見ていることで、蛇とは区別していると思われます。

明日から、人生の大勝負という覚悟を持って試験に臨まれる方、それを支えてこられたご家族の方もいらっしゃると思います。どうか持てる力を存分に出しきれますようお祈り申し上げます。

参考文献:淡交別冊「干支の茶道具」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?