古書店主気取りなのに自己啓発本や成功本の値段のつけ方がわからないのだが。
どう転んでも自己啓発本や成功本をあつかう能力がない古書店主。
20代から40代ぐらいまではキャリアポルノと呼ばれる本を貪るように読んだものだ。あれは利口になった気がするし、人生の当たり馬券に近づいたような気がする。
そしてある時に、気がするだけだと気づいた。
(あくまでも自分の場合だけど)
それ以降はこのジャンルの本の価値がわからなくなった。
価値がわからなければ値段がつけられない。
たぶんジャンルとしてのニーズは高いだろうに扱えない。
まあ古くなっても価値が続くものがあるかどうかわからないし。
意外に別ジャンルの方が、目の前の問題解決や向上にも役立ったりして。
お金儲けや社会でのし上がる必勝法を知りたい気持ちはわかる。
そういう本を読むとすっかりつかんだ気になる。
なのに人生は変わらず、問題は据え置きのままだったりする。
個人的な体験で刺激になったり実際に役立ったのは、回顧録や評伝や自伝だった。
エンタメにかかわって企画をしたりモノを書いて、時に理不尽に振り回されたり、アンフェアな扱いを受けたり、自分の至らなさに落ち込んだりしたことは数えきれない。
そんな時に、例えば劇作家ニール・サイモンの自伝を読んで、おなじような経験をして悩み苦しんだのを知ると、勇気をもらったなどとは言わないが、自分の置かれた状況をひいて見るきっかけになったりした。
いろんな人の人生を知ることは、自分に返ってくる。
だからそっちの方の本を扱うことにした。