牧野伊三夫・石田千/月金帳 2020 April-September 第1集
2020年の5月から9月まで、
やり取りされた書見の記録。
やり取りした二人は、
画家の牧野伊三夫と作家の石田千。
月曜日と金曜日、
交互にしたためられたから月金帳。
実際には、水曜日が多いのは気のせいか。
交信を始めるきっかけとなったのは、コロナ禍。
未知のウイルスによって、
世界が終ってしまうような恐怖に包まれたあの時。
そんな世界の中、
二人は落ち着き、何気ない日常を営む。
連日、テレビが恐怖を大袈裟に煽る中、
日々の中に喜びを見い出し、
静かに穏やかに生活する。
二人の心が安定しているのは、
生活が安定しているからだ。
実際に会えなくても、
心でつながる友がいるということが、
二人を心穏やかにさせているように感じる。
今、未知のウイルスは、
少しずつその実態を明らかにされつつある。
人々もコロナとともに暮らす日々に慣れつつある。
予防に心を配りながら、
必要以上に大騒ぎせず慌てず生活を送る。
たとえ多くの制限があったとしても、
楽しみはささやかな物事の中にある。
それに気づくことができるかどうか大切だと、
この本は静かに教えてくれる。