【書籍レビュー】Trust |コントロールするより信頼するほうがコスパがいい
デンマークに行ったときにデンマーク人に勧められてコペンハーゲンの本屋で買った「Trust」。デンマーク社会の成功の秘訣は「社会的信頼」が高いからだということを解説した本です。
信頼するか?コントロールするか?
デンマークで、「知らない人を信用するか?」と質問すると4人のうち3人がYESと答えるそうです。これを「社会的信頼」と呼ぶ。コントロールすることは悪くない。だけど、信頼のほうがコスパがいいんです。コントロールすると管理コストがかかる。無駄な作業が増える。それよりもお互いを信頼して性善説で生きたほうが合理的。
デンマークの街で感じたことがそのまま言語化されていて腑に落ちた。社会的信頼が低いコミュニティでは、正直な人はフリーライダーの食い物にされるので注意。中途半端にやってもダメ。信頼は社会的信頼が高い場所で活きてくる。
本に書いていた具体的なエピソードがデンマークを表している。
車やテントに鍵をかけない
著者はデンマークの島で家族とキャンプするとき、車やテントに鍵をかけない。一方、南アフリカのダーバンに行ったときは、武装警備や厳重な防犯措置が必要。
道端の無人販売所
デンマークでは道端で無人販売所が成り立っている。みんな野菜をとってお金を置いてくれる。紛失した財布もほぼ無傷で返ってくる。
契約書を交わさず口約束
デンマークのある工場は、正式な契約書を交わさず口約束で取引を行う。契約コストを削減し、効率を高める。
公共機関の腐敗が少ないほど、社会的信頼のレベルが高くなる
デンマーク人の大多数はフリーライダーではなく貢献者
プロテスタントが多い北欧諸国は、カトリックが多い南ヨーロッパ諸国よりも社会的信頼が 28% 高い
デンマーク人が2人会うと握手する。デンマーク人が3人会うと協会を設立する
過剰な管理や監視は、信頼を損なう危険がある。
アメリカで乳母車に子供を乗せたまま放置して捕まったデンマーク人。アメリカでは違法、デンマークでは日常
デンマークで路上にゴミを捨てる女性に驚愕。捨てる人がマイノリティ
信頼は大事。そのためにデンマークでは対話を重視する。そのためにコミュニティを作る。信頼関係があると安心する。デンマークの幸福度が高いのは社会的信頼が高いから。納得。
日本とデンマークは似てる部分がある
会社組織のパフォーマンスも信頼が大事ですね。過去振り返っても信頼関係があるチームでは無駄な時間がなくて効率がよかった。
日本はもともとデンマーク的な社会的信頼が高い国だと思います。だって、日本でも無人店があるんです。東京の恵比寿に無人の八百屋がありました。高級住宅地でよく見るんですが田舎にもあります。地方に旅行すると無人販売店が多い。八百屋とかね。共通点は日本人しかいないエリア。
コミュニティが重要。
移民がマイノリティの場合は、マジョリティに染まるかもしれないが、移民がマジョリティになるとヤバい。
薄い本なのに英語だから読むのに時間がかかりました。リーディングの練習によいのでまた読み直してみます。
著者はオーフス大学の Gert Tinggaard Svendsen
デンマークに行ったときに感じたこともいろいろ納得