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営業マンの読解テストI

次の文章を読んで後の問に答えよ。

営業Bの取扱い商品を検討している顧客Aは、喫茶店で営業Bから「弊社ショールームにより詳しい資料がありますので、商品説明させて下さい」と会社のショールームに誘われた。

顧客Aは少し戸惑ったが、営業Bから「即決して頂かなくても結構ですのでお気軽にお越し下さい」と言われ、「それなら」とショールームに行くことになった。

ショールームに着き、営業Bは商品説明を始めた。一通り説明が終わったところで、営業Bは「何か質問は御座いますか?」と問いかけたところ、顧客Aは、少し間を置いて「値引きってできますか?」と質問した。

実際の会話

【B】「もし弊社の商品をご検討頂いているようでしたら、弊社ショールームに詳しい資料が御座いますので、商品説明させて下さい。」

【A】「時間はどれくらいかかりますか?」

【B】「1時間程度です。」

【A】「それぐらいでしたら大丈夫ですが・・」

【B】「即決して頂かなくても結構ですのでお気軽にお越し下さい。」

【A】「それなら。」

【B】「ありがとうございます。」

ショールームに到着し、Bが商品説明を一通りする。

【B】「何かご質問は御座いますか?」

【A】「・・・値引きってできますか?」

問題

【問1】
営業Bは顧客Aを会社に誘ったタイミングについて適切なものはどれか。

(a)ショールームに来てくれることになったので誘うタイミングは適切であった。

(b)顧客の戸惑いがあったことからすると誘うタイミングは不適切であった。

(c)誘うタイミングとして適切とも不適切とも言い切れない。


【問2】
顧客Aの「時間はどれぐらいかかりますか?」と言った時の心情について適切なものはどれか。

(a)この後、予定があるからあまり時間が取れない。

(b)まだショールームに行きたくない。

(c)○時間ぐらいなら是非行きたい。

【問3】
顧客Aの「それなら」と言った時の心情について適切なものはどれか。

(a)購入を前向きに検討したい。

(b)そもそも購入する気はない。

(c)検討はしたいが即決はできない。


【問4】
顧客Aの「値引きってできますか?」の真意について適切なものはどれか。

(a)値引きしなくても購入したい。

(b)値引きしてくれるなら購入したい。

(c)本当にこの商品を購入していいのか不安。

(d)全く買う気はない。


【問5】
顧客Aの購入までのプロセスについて適切なものはどれか。

(a)まだ検討段階の為、値引は一旦お断りし、商品の比較提案が必要。

(b)前向きに検討している為、値引しなくても購入する。

(c)迷いはまだあるが、値引をすれば購入する。


回答と解説


【問1】答え(c)
営業Bは顧客Aを会社に誘ったタイミングについて適切なものはどれか。

(a)ショールームに来てくれることになったので誘うタイミングは適切であった。
(b)顧客の戸惑いがあったことからすると誘うタイミングは不適切であった。
(c)誘うタイミングとして適切とも不適切とも言い切れない。

✔︎解説

会社に誘うタイミングとしては、顧客から即了承頂けなかったことから勘案すると少し早かった可能性が高い。「即決して頂けなくても結構です」とフォローは入れているものの、デリケートな顧客の場合、それでも強引に感じ、次回のアポが取りづらくなる可能性がある。
ただなぜ(b)が正解ではないのかというと、受け身な顧客の場合、状況によっては会社に連れて行くことで購買意欲が湧いて好展開になるケースもある為、一概に問題文で読み取れる内容では適切なタイミングであったか否かの判断は難しい。よって(c)が正解となる。



【問2】答え(b)
顧客Aの「時間はどれぐらいかかりますか?」と言った時の心情について適切なものはどれか。

(a)この後、予定があるからあまり時間が取れない。
(b)まだショールームに行きたくない。
(c)○時間ぐらいなら是非行きたい。

✔︎解説

顧客が「時間はどれくらいかかりますか?」と聞く理由は、「商品説明だけでなく、購入手続きまで強引に進められてしまうのではないか?」という不安が、会社に行くことに対して抵抗となっている。
そもそも会社に行くことは、顧客にとって購買意欲がよほど高くない限り大きなストレスです。(a)のように顧客の予定が詰まっていることも当然考えられるが、顧客Aの会社に行くことに対しての戸惑いあったことを勘案すると「まだ会社に行きたくない」と本音では思っていると解釈するのが適切です。よって(b)が正解となる。



【問3】答え(c)
顧客Aの「それなら」と言った時の心情について適切なものはどれか。

(a)購入を前向きに検討したい。
(b)そもそも購入する気はない。
(c)検討はしたいが即決はできない。

✔︎解説

問1、2の解説の通り、検討はしているものの即決はできないが適切な判断です。(a)の前向きに検討したいは、「どれくらい時間がかかりますか?」と聞かれたことや、惑う仕草をしたことを勘案すると適切とは言い切れません。よって(c)が正解です。


【問4】答え(c)
顧客Aの「値引きってできますか?」の真意について適切なものはどれか。

(a)値引きしなくても購入したい。
(b)値引きしてくれるなら購入したい。
(c)本当にこの商品を購入していいのか不安。
(d)全く買う気はない。

✔︎解説

このケースの顧客の「値引きってできますか?」は不安の表れです。その不安が商品価格に派生し、「高いのではないか?」と根拠ない疑いが生まれ、「値引きってできますか?」という質問として表れているのです。
なので、(b)の値引きしてくれるなら購入したい訳ではないので注意が必要。ここで値引きを受けてしまうと、顧客は「やはり」となり、「もっと値引けるのではないか?」や「質問していないだけで他にデメリットがあるのではないか?」と不安が広がるだけです。よって(c)が正解となります。



【問5】答え(a)
顧客Aの購入までのプロセスについて適切なものはどれか。

(a)まだ検討段階の為、値引は一旦お断りし、商品の比較提案が必要。
(b)前向きに検討している為、値引しなくても購入する。
(c)迷いはまだあるが、値引をすれば購入する。

✔︎解説

問3の解説の通り、(b)(c)は不適切。不安解決の一つとして他の商品と比較提案から仕切り直すぐらいのスタンスが適切です。よって(a)が正解です。



回答&解説に目を通していただきありがとうございます。
営業経験が長い方は既にお気付きかと思いますが、この読解テストは、回答が100%正解とは限りません。
その場の雰囲気や接客の流れ、その時の顧客の体調、顧客の感じている営業マンの印象など、様々な要因が絡み、同じような場面が訪れてたとしても正解が不正解となる場合もあります。
この営業マンの読解テストの目的は、分かりやすい場面でも「様々なことが想定される」という心構えを構築することを目的としております。
これから営業される方や、営業マニュアルなどの型にはまり過ぎてなかなか成果に繋がらない営業マンにお役に立てれるようなテストを今後も作成して参ります。

読むだけで営業の経験値になるnote↓↓↓

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