ノベルゲームを作ろうと思ったら15年かかった話【第8話】制作編④「αチャンネル？ アンタ、いったい何なのさ！」 〜画像表示までの道のり〜
これは、サウンドノベルの持つ魅力に取り憑かれ、「自分でもノベルゲームを作ってみたい」という思いを抱き、終わりのないゲーム制作に足を踏み入れた１人の個人ゲーム制作者の物語である。
ついに人生初のノベルゲーム「アカイロマンション」のロゴが完成した落柿（らくし）。
マンションの画像素材選びも終わり、Illustrator上で配置をこねくり回し、タイトル画面のデザイン案も固まった。
さあ、あとはこれをNscripterで表示するだけだ。よし！
さてその方法はっと……。
基本的に画像ファイルは四角形なので、立ち絵などをそのまま背景と重ねた時、余白も表示されて不自然になってしまいます。（中略）余白を切り抜く方法は何種類かありますが、この本ではαチャンネル合成をお勧めしています。
……ん？ 何それ。背景画像をババーン！ って表示して、ロゴをドドーン！ って出せばいい話じゃないのかい？？？ 何αチャンネルって。頭の中を「？」だらけにしながら続きを読む。
…………。
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…………。
な、何を言ってるのかサッパリわかんねえぜ……。
で、でも公式も「今はそんな物なんだ」ぐらいでいいって言ってるし……。
よし！ ここは全力で言っておこう。
へぇー、そんな物なんだーーーーーー！！！
で、それってどうやるのさ？？？
その右側の黒い影は何なのさ？ ゲド戦記の主人公を付け狙う影かな？
その説明も上記にすべて書いてあるのだが、作者の脳は全力で理解を拒否していた。１０年以上を経て、今読んでみてもサッパリ理解できない相変わらずのポンコツ脳である。ちなみにゲド戦記は原作も映画も履修済み。
αチャンネル画像の作り方はマニュアルの４章に書いてあった。
考えたら負けだ。心を無にしてひたすら指示に従え。
画像を用意し、合成用フォルダ（？）を作る。そこに元画像を別名保存する（なんで？）。bmpファイルとして合成用フォルダに別名保存（bmpとは？）元のファイルのレイヤーを真っ黒に塗りつぶす（レイヤーってなんか苦手な概念のやつだー！）。
カッコ内の感情を押し殺し、マニュアル通りに進める落柿。理解なぞいらぬ。ブツが出来ればそれでいい、と自分に言い聞かせて……。
ちなみにこの文章はNscripterのマニュアルを参照しながら書いている。なぜなら実際の作業をこれっぽっちも覚えていないからである。もう１回やれと言われたら当時と同じように心を無にして取り組めばできる……と思う。
でーけーたー！
血飛沫だって！
タイトルに使うボタンだって！
ほら……できたー！
なんで黒いやつ作らなきゃならないかは結局わかんないけどできたんだからヨシ！
あとはこれを指示するスクリプトを書けばいいんだろ……？
背景を出す指示は……なるほど〝bg〟か。
タイトルとボタンを表示させ、そのリンク先をそれぞれ指定する。
この命令文を書くのはそこまで難しくは感じなかった。
何しろ落柿はインターネット黎明期に青春時代を過ごした者。ダイヤルアップ接続を行い、個人サイトを開設し、キリ番とかBBSとか宣っていた者。htmlの基礎の基礎ぐらいはできたのでそれと似たようなもんだと感じたのである。
ダイヤルアップ接続の「ギー……キャリャキリキャリ……ギー……」みたいな接続音は未だ耳に残っている。あとテレホタイムって言葉とそれに乗っかって徹夜した次の日の眠気も。
よしできた！
出でよタイトル画面！！
やった……やったよ……。
αチャンネルを攻略したよ……。疲れた……。
最初からこんな感じで本当にゲームが完成するのか？
いや、作るのはサウンドノベルだし基本立ち絵はないし、こんなに画像で苦労するのも今後は多くはないだろう……ないよね？
こうして落柿はようやく「アカイロマンション」の本編作りに取りかかるのだった。
ちなみに、後に「アカイロマンション完全版」を完成させることになるツール「ティラノビルダー」ではこのようなαチャンネル画像を作る必要はないということをここに書き添えておく。
…………。
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無駄な時間を費やした
そんな落柿が15年かけて作ったゲームはこちら。
Steam版は6月28日までセール中！
DLsiteも26日までセール中！
BOOTH
あと「かまいたちの夜×3」の移植が決まって個人的にウッキウキな作者です！！
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